競争が激化する現代ビジネス。市場で優位に立つためには、どうすれば良いのでしょうか?
今回はクロネコヤマトの高齢者見守りサービスを取り上げ、持続的な競争優位をつくり出す方法を解説します。
自分たちのお客さんは誰なのか、どんな問題を解決するのか、解決によってお客さんが得る本質的な価値は何なのか。お客さん目線で捉え、価値をつくり、他社にはない仕組みにする方法をぜひ一緒に探っていきましょう。
クロネコ見守りサービス
出典: ヤマト運輸
高齢者の見守りサービス
ご紹介したいのはヤマト運輸の高齢者見守りサービスです。サービス名は 「クロネコ見守りサービス」 といいます。
ヤマト運輸が高齢者見守りサービスの契約数を伸ばしている。2023年1月は前月比でほぼ倍増し、計約6千件となった。
見守りは通信機能を備えた電球で住人の異変を検知する仕組みだ。異常発生時には親族や知人に通知が届き、ヤマトのスタッフによる代理訪問も受けられる。自治体がふるさと納税の返礼品に採用するケースも出てきた。
サービス名は 「クロネコ見守りサービス」 。契約時にヤマトのスタッフが利用者の自宅を訪問して今ある電球と交換する。設置した電球のスイッチが24時間にわたって操作されない場合、事前登録した親族や知人、ヤマトのサービスセンターにメールが届く仕組み。
事前登録した親族らからの依頼があればヤマトのスタッフが代理で訪問し、安否確認することも可能だ。異変検知時のメール通知や代理訪問まで含めて料金は、電球1個あたり月額1078円としている。追加費用は発生しない。
クロネコ見守りサービスの特徴は専用電球を家庭に取り付け、依頼すれば担当者が直接見に行き状況を確認してくれることです。電球を替えるだけという手軽さがいいです。
モノと人をうまく組み合わせた見守りサービスの仕組みになっています。
「大事に至らずに済んだ」
利用事例を1つ見てみましょう。クロネコ見守りサービスで実際に高齢者が救われた話です。
「見守りのサービスがあったから大事に至らずに済んだ」 。
22年12月上旬に電球を設置した広島県の高齢者宅では、年末に電球のスイッチ操作が24時間なかった。依頼主の要望でヤマトのスタッフが代理訪問したところ、意識はあるが動けない状況になっていた高齢者を発見した。救急車で病院搬送したため大事には至らなかったという。
学べること
ではヤマトの高齢者の見守りサービス 「クロネコ見守りサービス」 から学べることを掘り下げていきましょう。
ヤマトの高齢者見守りサービスの提供価値
利用者にとってのクロネコ見守りサービスの価値は、専用の電球使用によって家族の安否がわかり、もしもの時にはすぐに対応できて万が一の事態を未然に防げることです。遠方に住む家族にとっては高齢の親の様子を確認するために、代わりに訪問してくれるというのも助かります。
普段から自宅に荷物を届けてくれるヤマトへの親近感から、家に行く・来るのを任せられるという安心感があり、ここが利用者にもたらされる感情的な価値になっています。
価値を提供できる勝ち筋と仕組み
もう一歩踏み込んで掘り下げたいのは、ヤマトがなぜ今見てきたような価値をお客さんに提供できるかです。
提供価値が他のプレーヤーにはできない仕組みになっていれば簡単にはマネされません。仮にマネされたとしても表面的な模倣に終わり競争優位性は保てます。
ヤマトが本業でやっているのは一般消費者向けには各家庭に訪問し、荷物を届けたり受け取っていることです。個別訪問はヤマトにとってはいわば得意分野です。
荷物の受け渡しと見守りサービスはやっていることは一見違いますが、適切に家に訪問するという共通点があります。訪問において会社全体でノウハウとケイパビリティ (能力) があるからこそ、ヤマトは新しいサービスである高齢者見守りサービスにも勝ち筋を見出し、お客さんに価値をもたらしているのです。
持続的な競争優位のつくり方
クロネコ見守りサービスからの学びを一般化すると、次の問いから持続的な競争優位をつくることができます。
✓ 持続的な競争優位のつくり方
- 自分たちのお客さんは誰か
- 求められるニーズは何か、お客さんのどんな問題を解決するか
- 解決することによるお客さんが得る価値は何か
- 勝ち筋を見出せているか。価値提供の背後には他社にはない仕組みがあるか
お客さん目線になるというマーケティング視点を入れ、これらの問いに1つ1つ答えていくことで持続可能なビジネスの競争優位につながります。
まとめ
今回はクロネコ見守りサービスを取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 持続的な競争優位のつくり方
- 持続的な競争優位をつくるにはお客さん目線でニーズや解決策を考え、他社にはない仕組みを持つことが重要
- 自分たちのお客さんは誰か、お客さんのどんな問題を解決するか、解決されお客さんが得る価値は何か、勝ち筋を見出せているかを明確にしよう
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