自社の商品やサービスが、本当に価値のあるものだとお客さんに感じてもらえていますか?商品の価値を具体的に示せているでしょうか?
商品特徴をしっかりと数字やグラフで見せることができれば、説得力のある価値の伝え方ができます。
今回は、価値を効果的に伝える方法を見ていきます。おもしろいと思ったセイコーエプソンの取り組みから、マーケティングに学べることを一緒に掘り下げていきましょう。
テレワークの仕事効率
セイコーエプソンがテレワーク時の集中度を身体データから測定し、テレワークの仕事効率を検証する実験を行いました。
セイコーエプソンは心拍データから集中度などを可視化する技術を開発した。
長野県茅野 (ちの) 市での地方テレワークの実証実験に参加し、独自のセンシングデバイスを使って心拍間隔の変化を計測して独自のアルゴリズムで解析した。
実証実験の背景
自然の中でのワーケーションに参加した人からは集中力が上がるといった感想はあったものの、その効果を定量的にデータで証明できていないというのが課題でした。
以下はセイコーエプソンのリリースからの引用です。
茅野市は、交流人口拡大事業の一環として、個人のパフォーマンス、心身の健康の実現に寄与するウェルネステレワークのプログラムを森ビルと実施しています。
これまでは、参加者から集中度の向上など効果を実感したという声があった一方で、その効果について定量的なデータで立証できていない、といった課題がありました。
可視化されたテレワークの効果
データで可視化できたのは、茅野市でのテレワーク中は通常勤務に比べて参加者の集中度が増したこと、そして睡眠の質の向上も定期量的に確認できました。
プログラム参加前と参加期間中にこのセンシングデバイスを装着いただき、測定した結果、データから算出された集中度と参加者の体感が一致するエビデンスを得ることができました。
また、集中時間は、参加前に対して18人中11人が増加し、累積で 56% 増加する結果となりました。さらに、データを用いて各業務の集中度や睡眠の質を参加者にフィードバックをおこなうことで、自身の気づきを促し、個人のパフォーマンス向上、心身の健康につながるセルフケア (行動変容) のきっかけとなることがわかりました。
出典: セイコーエプソン
参加者の声
テレワークの実証実験に参加した人の感想は次のような内容でした。
- 生活の中での自分のパフォーマンスについて、自分の主観と客観的なデータをすり合わせることで、現実の理解が深まり、行動の改善が出来そうだと感じました
- 自分の睡眠や集中度を定量的に測ったことがないので大変興味深く、益々データを良くするために取り組むマインドになると感じました
- 寝ているときの状態や交感神経副交感神経の状態など、普段計測しづらいものを確認できたことで、何をすればどうなるのか具体的に考えるきっかけになりました
学べること
ではセイコーエプソンの取り組みから学べることを掘り下げていきましょう。
可視化の意義
セイコーエプソンはテレワークやワーケーションの効果を数字で客観的に示すことに成功しました。
これまでは参加者からの声として効果は聞けたものの、あくまで感想レベルでした。セイコーエプソンは独自に開発したセンシングデバイスと解析技術を活用し、集中度や睡眠状態を可視化しました。
データからの可視化の意義は、これまで難しかった集中度や睡眠状態によってテレワークの効果を定量的に示したことにあります。
お客さんに価値を伝える
今回の事例からの学びを一般化すると、価値をお客さんに見せて伝えることの重要性です。価値をどうやって伝えるかに学びがあります。
商品やサービスの特徴を数字やグラフで可視化し、お客さんにとっての便益や価値を示せると説得力のある伝え方ができます。
セイコーエプソンがやったように人がはなんとなくでしか感じられないことの証明、あるいはお客さんがまだ知らなかった価値の側面を見せることでお客さんに魅力に思ってもらえるのです。
お客さんに価値を知ってもらうためには、マーケターはあの手この手を使って愚直に価値を伝え続けるしかありません。お客さんに価値を伝え、お客さんから他ではなく自分たちが選ばれる状態にするのがマーケターの役割です。
まとめ
今回はセイコーエプソンの取り組みから、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ マーケターの役割
- 商品の特徴を数字やグラフで可視化し、お客さんにとっての価値を示せると説得力のある伝え方ができる
- お客さんに価値を知ってもらうためにはあの手この手を使って愚直に価値を伝え続けるしかない
- マーケターの役割はお客さんに価値を伝え、お客さんから他ではなく自分たちが選ばれる状態にすること
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!