焼き肉ならぬ 「炊き肉」 をご存知でしょうか?
人気が広がっている炊き肉から、なぜ人々を惹きつけているのか、得られる学びとしてマーケティングにどう活かせるかを見ていきます。具体的には、お客さんの本能や煩悩に応えるマーケティングです。
おもしろいと思った事例から、マーケティングに学べることを一緒に掘り下げていきましょう。
炊き肉
出典: macaroni
いいとこ取りで人気に
ご紹介したいのは 「炊き肉」 です。
炊き肉が 「焼き肉」 と 「鍋料理」 のいいとこ取りから人気になっているとのことです。
「炊き肉」 がじわり話題となっている。鉄板にリング状に並んだ肉と野菜を、温めただしで炊き上げて食べる新感覚料理だ。
もともと鹿児島で人気を博し、今や東京をはじめ様々な地域に専門店が登場。手軽に作れる料理として自宅で楽しむ人も出てきている。
消費者の評価
炊き肉を消費者はどう評価しているかを見てみましょう。
東京・恵比寿にある 「炊き肉名人 和牛まる」 。「炊くから旨い。」 の看板を掲げた店に人々が次々と吸い込まれていく。
(中略)
都内在住の男性 (24) は 「炊き肉」 の珍しさにひかれて来店した。「友人と話のネタにもなっていい。見た目は豪華なのにヘルシーに食べられる」
同店は秘伝のタレでもみ込んだ野菜をリング状に盛りつけ、その上に肉をのせて炊くスタイル。使用する野菜とキノコは21種類、牛肉は A5 ランクの黒毛和牛だ。店のスタッフは 「野菜たっぷりなのでおなかにも優しい」 とお薦めポイントを語ってくれた。
「炊き肉には背徳感がない」
炊き肉の人気の理由は食べ方のめずらしさ、野菜も多く取れる健康的なヘルシーさがあるのでガッツリ食べられる、そしてビジュアル的にも映えるからなのでしょう。
興味深いと思ったのは 「炊き肉には背徳感がない」 という見立てです。
大阪市の繁華街、ミナミにも炊き肉を売り物にする店がある。「しじみ炊き肉くにき」 は30席以上の客席が予約した人たちで埋まる。
「背徳感なく食べたり飲んだりしてもらえる料理を出したい」 。店主の藤原都貴さんは炊き肉をメインにした理由をこう説明する。
学べること
では炊き肉から学べることを掘り下げていきましょう。
人の二面性
注目したいのは 「炊き肉には背徳感を感じないこと」 という捉え方です。
炊き肉は肉だけではなく野菜も一緒に多く食べられることで、お腹いっぱい食べてもどこか気持ちに罪悪感を感じにくいという心理です。
背徳感を感じないということは、逆に言えば日頃は自分の食事に少なからず背徳感を抱いてしまっているということです。
人はいつもヘルシーなものばかりを食べたいわけではありません。人間の二面性です。
誰しも、たまにはカロリーの高いボリューム満点のものを思いっきり口にしたい欲望を持ち合わせています。焼肉の食べ放題、ラーメンなどの麺類、ハンバーガーや丼ものなどのファストフード、他にはスイーツやお菓子です。
これらを食べすぎるのは身体にはよくないことは理性的に頭ではわかってはいますが、人は背徳感を感じつつも本能的に心では食べたいと思う生き物なのです。
お客さんの本能に応えるマーケティング
1人の人間の中には色々な本性や欲望が入り混じっています。少なくとも建前と本音の2つが存在します。
マーケティングへの学びにつなげると、マーケティングで大事なのはお客さんのどんな気持ちや本能的な望みに応えるかまでを明確にすることです。「誰の」 「何をしたい・得たい気持ち」 を狙うのかです。
マーケターがお客さんを理解する深さのレベルは、お客さん本人が普段は気づいていなかったり自分の気持ちにフタをしている奥にある心理までです。お客さんがまだ言葉にして説明できない感情、恥ずかしくて他人には言いたくない本音、そもそも気づいていない深層心理です。
ターゲットとするお客さんのことを赤の他人であるマーケターがここまで理解し、お客さんの本音や煩悩に響く価値を提案していく。目指したいのはお客さんの本能に応えるマーケティングです。
まとめ
今回は炊き肉が人気になっている話を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ お客さんの本能や煩悩に応えるマーケティング
- 1人の人間の中には色々な本性や欲望が入り混じっている
- お客さんの理解は表面的な言動だけではなく、本人が普段は気づいていなかったり、自分の気持ちにフタをしている奥にある心理まで掘り下げる
- 深い顧客理解からお客さんの本音に響く価値を提案しよう
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