自社商品の真の価値を、お客さんにきちんと伝えられているでしょうか?
日々の生活の中で消費者が手に取る数々の商品には、価値や物語が隠されています。それがうまく伝わっていなければ、せっかくの商品の魅力が気づかれないままとなってしまいます。
今回のテーマは 「お客さんへの価値の伝え方」 です。マーケターは価値を伝える伝道師であれという話です。
どのように商品の価値をお客さんに伝えればいいか、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
銅器の製作体験
出典: 日経
新潟県にある銅器製造の玉川堂 (ぎょくせんどう) が銅器の製作体験ツアーに注力しています。
鎚起 (ついき) 銅器を製造する玉川堂 (新潟県燕市) は、銅器の製作体験などができるセミナーハウスを建設した。
工場の見学ツアーもあわせて実施し、金属加工業で有名な燕三条 (つばめさんじょう) 地域や製品に込められた思いなども知ってもらう。県内外から訪れるきっかけにすることで、地域活性化にもつなげたい考えだ。
見学ツアーでは職人に教わりながら銅器を作るワークショップもあります。
2023年1月には新施設を活用した第1弾として、銅製の小皿を作るワークショップを開いた。参加者は職人の指導を受けながら、模様入れや化学反応による着色などを体験した。東京から参加した30代の男性は 「訪れてさらに製品がほしくなった」 と満足そうだった。
工場見学もあわせて実施する。これまでも個人の顧客向けに15分程度の無料見学を実施してきたが、ワークショップでは見学ツアーに約1時間をかける。普段は入れない作業場を見学したり、製造方法の説明を聞いたりできるという。
今後は週末を中心に月1 ~ 2回程度の頻度でワークショップを開く計画。製作体験の内容も適宜変更し、何度も足を運んでもらえるように工夫する。イベントの運営体制などを整えたうえで今春にも本格的に始める計画だ。
普段はなかなか入って見ることはない工場の見学から、玉川堂のことを詳しく知ることができます。職人が直接指導してくれるワークショップに参加することで、本物やプロの凄さがわかる体験になっています。
学べること
では玉川堂が提供している銅器制作の体験ツアーから、学べることを掘り下げていきましょう。
百見聞は 「一体験」 にしかず
マーケティングの観点で示唆があるのはお客さんにどうやって価値を伝えるかです。
普通に生活を送っているだけではわからない商品の価値をお客さんに知ってもらうことが大事です。具体的にはお客さんが知らなかった世界、商品へのこだわり、作り手の匠の技、できあがるプロセス、プロがやっている商品の使い方です。
日本語の言い回しで 「百聞は一見にしかず」 がありますが、「百見聞は “一体験” にしかず」 です。たとえ百回も見たり聞いたりするよりも、自分で実際に体験するほうが得るものは大きいのです。
価値を伝える伝道師であれ
今回の事例からの学びを一般化すると、マーケターに求められる役割は 「お客さんに価値を伝える伝道師」 です。
それこそあの手この手を使い、既存のお客さんにはまだ知られていない価値を伝えます。これからのお客さんである 「未顧客」 には商品や会社の認知だけではなく興味を持ってもらい、未顧客の文脈に沿って商品や使い方や価値を提案し、自分ごと化してもらうわけです。
体験してもらうことで初めてわかる価値まで伝えていく。百見聞は 「一体験」 にしかずから価値を伝える伝道師を担うのがマーケターなのです。
まとめ
今回は銅器メーカーの玉川堂の取り組みから、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ マーケターは価値を伝える伝道師であれ
- 普通に生活を送っているだけではわからない商品の価値をお客さんに知ってもらうことが大事
- 既存のお客さんにはまだ知られていない価値を伝える。未顧客には相手の文脈に沿って商品に興味を持ってもらい、使い方や価値を提案する
- マーケターは価値を伝える 「伝道師」 であれ
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