投稿日 2023/06/04

理想の1本を会話から導くシチズン時計の販売員。お客さんからの信頼を獲得する接客術

#マーケティング #価値提供 #肯定度


お客さんからの信頼を獲得するには、どうすればいいでしょうか?

今回は、一流の販売員の方がやっている独自の接客方法、Google が提唱する消費者心理の 「肯定度」 を解き明かすことで、お客さんの購入意欲を引き出し、満足度を高める秘訣を探ります。

より効果的な接客やマーケティングを模索してみませんか?ぜひ一緒に新たな発見を見つけにいきましょう。

シチズン時計の販売員


今回取り上げたいのは、シチズン時計の販売員の方の接客方法です。

信頼を獲得する接客


お客さん1人ひとりに合わせた時計の提案が信頼につながっているとのことです。

迷っている顧客へ最後の一押しになるのが 「作り手の裏話」 だ。職人の気配りやこだわりは、特別感を増し、購入意欲を刺激する。

例えば星座好きの設計者が手がけた 「カンパノラ」 シリーズの時計では、北緯35度で見える恒星や星雲を精密に再現、時刻にあわせて回転し、リアルタイムの星座を正確に表示するという。

木口浩一さんは商品の機能をていねいに説明した後に、ブランドの歴史や作り手の思いなど情緒的なアプローチで顧客の心に訴えかける。他店も見に行った顧客が最後に戻ってきて紹介した時計を買ってくれた時が木口さんの一番うれしいときだという。

接客時の会話の盛り上がりによってお客さんが買ってくれるかに直結するとのことで、まずは時計を試着してもらうことが重要であると。かといって決してすぐにはお客さんに声をかけないそうです。

会話での話題は時計だけではなく、趣味が山登りのお客さんには山の話題など幅広く場を盛り上げるアプローチをとっています。会話をもとにお客さんが好みそうな時計を1つ1つ見せていき、理想の商品を見つける手伝いをするという接客スタイルです。

無料での価値提供


シチズン時計の販売員の方がやっている接客方法をマーケティング視点で捉えると、無料での価値提供からの信頼獲得です。

✓ 無料での価値提供
  • そこでしか得られない情報を共有
  • 例えば商品の機能だけではなく、ブランドの歴史や職人のこだわり、時計と直接関係ない話題
  • 話が盛り上がり愛着が高まっての他ではできない買い物体験の提供

情報提供は無料ですが、決してクオリティの低いものではなく、貴重な情報や体験を提供することでお客さんからの信頼を高めているわけです。


買い物に失敗したくない心理


学びへの着想を広げるために、買い物における人の心理を1つご紹介します。

買う物への 「肯定度」 


Google が提唱する買い物での消費者心理である 「肯定度」 です。

肯定度とは買いたい物への自分の選択への自信の強度のことです。平たく言えば 「 (買おうと思う物について) これを買って間違いない」 と思える度合いです。


肯定度が高まるプロセス


商品・サービスを調べたり、店頭で実物を見に行き店員さんにも話を聞くことで肯定度は上がっていきます。「これで間違いない」 と思える度合いが強くなります。


満足度やリピート購入への影響


Google の調査からわかったのは、購入前の時点で商品やサービスへの肯定度が高いほど購入後のお客さんの満足度は上がり、リピート購入にもつながりやすいことです。

これが意味するのは、買う前の段階で見込み客への適切な情報提供や良いユーザー体験を意図的につくることで、ロイヤルティの高いお客さんになってもらえることです。

肯定度を高め信頼を獲得する接客方法


人には買い物で失敗したくないという気持ちがあり、本人が意識していなくても潜在的な深層心理として存在します。買うまでの情報収集やお店で実物を確かめたりすることで 「これを買って間違いない」 という確信を得たいわけです

肯定度を高めるためのお客さんとのコミュニケーションをするために、シチズン時計の販売員の方の接客方法が参考になります。

まだ 「買って間違いない」 という肯定度にまでなっていない人は、もっと色々と知りたいという望みが奥にあるはずです。お客さんの望みに対して積極的に情報を共有するといいでしょう。

シチズン時計の販売員の方は、お店でしか得られない情報として商品の機能、ブランドの歴史や職人のこだわりなどを伝えていました。そこでしか得られない内容を無料とはいえ価値に変え、肯定度を高めお客さんからの信頼を獲得しているのです。

* * *

Google の肯定度を詳しく知りたい方へ


肯定度をさらに詳しく知りたい方には以下の動画と Think with Google の記事がおすすめです。


✓ 参考記事

まとめ


今回はシチズン時計の販売員の方の接客と Google が提唱する 「肯定度」 から、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お客さんからの信頼を獲得する方法
  • 人には買い物で失敗したくないという気持ちがある
  • 買うまでの情報収集やお店で実物を確かめたりすることで 「これを買って間違いない」 という確信を得たいと思う (肯定度を高めたい) 
  • そこでしか得られない情報 (例: 商品の機能だけではなくブランドの歴史や職人のこだわりなど) を価値として伝え、肯定度を高めお客さんからの信頼を獲得しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。