「お客さんの成功」 は、自社の成功にどうつながるのでしょうか?そして、その成功を実現するために、何をすればいいのでしょうか?
成功のカギはお客さん目線になることにあります。今回は、お客さんと一緒に 「お客さんの先のお客さん」 に目を向けようという話です。
BtoB の事業モデルを持つ日本クロージャーの事例から、ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
日本クロージャー
ご紹介したいのは日本クロージャーという会社です。
ボトルキャップ首位
日本クロージャーは日本でのボトルキャップのシェアが首位のメーカーです。
年間で流通する飲料用ペットボトルは約250億本。そのうち約6割が東洋製缶ホールディングス傘下の日本クロージャー製だ。1941年に帝国王冠として設立されて以来、飲料容器の需要に対応しながらキャップも進化させてきた。現在プラスチックキャップでトップシェアだ。
顧客ニーズにきめ細かく対応
日本クロージャーで注目したいのは、消費者ニーズに基づいてキャップ開発を進めてきたことです。
顧客の声を聞き、ニーズにきめ細かく対応してきた。例えばキャップの保管にも適温があり、充填 (じゅうてん) 工場内の温度も踏まえた品質管理が求められるという。また、納品先の顧客は飲料充填工場だが、最終消費者である飲用者の声や飲用スタイルを意識してきた。
商品の密封性と開けやすさという相反するニーズや、開栓したことを分かりやすくしていたずらを防止するニーズにも対応する。二酸化炭素 (CO2) 削減も視野に入れ、使用原料の組み合わせで軽量化を図りつつ耐圧性能を維持する。
前半のまとめ
一度ここまでの内容をまとめておきます。
- 日本の飲料市場はペットボトル商品が中心で、年間約250億本のペットボトルが流通
- その6割で日本クロージャー製のキャップが使われている。日本クロージャーはボトルキャップ首位
- 日本クロージャーは飲料メーカーや消費者のニーズに対応し、キャップの保管や品質管理、開けやすさや密封性、軽量化など多岐にわたる機能を提供している
学べること
では日本クロージャーの事例から学べることを掘り下げていきましょう。
お客さん目線になるとは
ご紹介した日本クロージャーの事例は 「お客さん視点になるとはどういうことか」 に示唆があります。
日本クロージャーは BtoB の事業モデルです。直接のお客さんは飲料メーカーで、納品先はペットボトル飲料の充填工場になります。
日本クロージャーが顧客ニーズとして捉えようとしているのは飲料メーカーだけではなく、最終的にペットボトル飲料を買って飲む消費者のニーズにも及んでいます。消費者とは日本クロージャーの直接のお客さん (飲料メーカー) の先にいるので、日本クロージャーにとっては 「お客さんのお客さん」 にあたる存在です。
お客さん目線になるとは、お客さんが置かれた状況を理解し、お客さんが見ている景色と同じものを見ようとすることなのです。見る相手は 「お客さんの先のお客さん」 になります。
お客さんの成功を実現する
日本クロージャーが消費者にとっても良いキャップを作れば、飲料メーカーへの消費者からの印象や評価が上がります。飲料メーカーのペットボトル飲料の売上増に貢献できるでしょう。
巡り巡って自分たち (日本クロージャー) にも恩恵が返ってきます。
全体の流れを整理すると、
- エンドユーザー (お客さんのお客さん) にベネフィットをもたらす
- お客さんのビジネスが成功する
- 自分たちのビジネスにも恩恵がある
視座を高め、視野を広げる
今回の学びを一般化すると、お客さんに価値をもたらすために視座を高くし、見る領域や時間軸という視野を広げることの重要性です。
人はどうしても目の前のことに注意が行き、考える領域が狭くなりがちです。お客さん目線になるためにはものごとを広く捉えてお客さんの成功につなげていく。これをマーケティングで意識したいです。
まとめ
今回は日本クロージャーの事例から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 顧客視点からの価値提供
- お客さん目線になるとは相手の状況や文脈を理解し、お客さんが見ている景色と同じものを見ようとすること
- エンドユーザーにベネフィットをもたらしお客さんのビジネスの成功に貢献すれば、自分たちのビジネスにも恩恵が得られる
- お客さんへの価値提供のために高い視座に立ち、目の前のことだけでなく広い視野でお客さんの成功につなげよう
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