投稿日 2023/06/16

未解決問題をビジネスチャンスに変える!大人のカレースパイス事例で解説

#マーケティング #問題設定 #機会発見


家庭でカレーを作る際、家族全員の好みに合わせるのに苦労したことはないでしょうか?特に子どもがいる家庭では、大人と子どもの好みのカレーの辛さが違い、大人が我慢して子ども用の甘口カレーを食べていませんか?

多くの人が当たり前だと思って受け入れていることには、実は大きなビジネスチャンスが眠っています。

今回は、あるカレースパイスの事例を通じて、これまでの常識を見直し、見過ごされていた問題を見つける方法を考えます。問題設定についてぜひ一緒に見ていきましょう。

大人のカレースパイス


出典: PR TIMES

ご紹介したいのは、小さな子どものいる家庭などで、家族の中でカレーの好みが食い違う 「家庭内カレー問題」 を解決するスパイスです。商品名は 「大人のカレースパイス」 と言います。

甘口カレーにふりかけるだけで、本格スパイスカレーに変えられます。

化粧品やサプリメント製造などを手掛けるコウダプロ (福岡市) はカレーに振りかける 「大人のカレースパイス」 を発売した。甘口のカレーに振りかけるだけで本格的なスパイスカレーの味わいに変えられる。小さな子供のいる家庭などでカレーの好みが食い違う 「家庭内カレー問題」 を解決する。

黒こしょうやクミン、コリアンダーなど20種類のスパイスを配合した。使い切れる個包装で、小さな子供向けの甘口カレーに振りかければ大人向けの味わいに変えられる。価格は1包302円。通販サイト 「楽天市場」 で販売する。

同社が小学生以下の子供を持つ120人を対象に実施した調査によると 「別々の鍋でカレーを2味作る」 人が 57% 、「毎回我慢して甘口カレーを食べる」 人が 24% に達し、家でカレーを食べるときに問題を感じている人は約8割に及んだ。事前に実施したクラウドファンディングでは、目標金額の12倍にあたる約120万円が集まったという。

ちなみに、大人のカレースパイスを生んだのはコウダプロの 「しあわせ食卓事業部」 です。

公式サイトには事業部の目指す世界観が次のように書かれています。

当事業部は『しあわせな食卓を世界に提案する事業部』として立ち上がりました。

ここでいう 「しあわせ」 は、「おいしい」 だけではありません。

食事をするときのアッと驚くような体験や、クスッと笑ったりするようなユーモアたっぷりのアイテムなど、小さな感動や心地よい刺激を食卓で感じて、さらにおいしく食事をすることができる 「しあわせ」 を多くの人に感じてもらいたいと考えています。

子育て真っ最中のママさんやパパさんが、時間に追われながら食事をするときでも、ホッと落ち着くような瞬間を提案できないだろうか。

納期前の残業続きのサラリーマンが帰宅したあと、疲れた体に流し込む至福のビールタイムに、クスッと笑ったりするようなユーモアのあるアイテムを提案できないだろうか。

感染予防のためのステイホームが続いたときに、さみしい気持ちをホッと温かい気持ちにできるアイテムを提案できないだろうか。

… そんな事を毎日考えながらアイディアを実現していきます。

長らくあった問題解決


カレーは多くの家庭で定番の料理として親しまれていますが、家族の好みが異なる場合、1つの鍋で作るのは難しいでしょう。

子どもがいる家庭では大人が子ども用の甘いカレーで我慢するか、別々の鍋を2つ用意して作り分けることになります。このような問題はカレーを作る際にいつも起こっていて、長らく解決されないままでした。

人々が諦めていた問題を解決する


ご紹介している 「大人のカレースパイス」 は、作った後でカレーに使うだけで、子ども向けの甘口カレーを大人向けのスパイスカレーに変えられる 「魔法の粉」 です。これは、家庭でのカレー作りにおいて悩みがちな問題に対して、ありそうでなかった解決策を提案した事例です。

 「大人のカレースパイス」 は、これまでの固定観念に一石を投じ、今までになかった解決方法を提案することで消費者に新たな価値を提供したわけです。

ビジネスを成功させる原則


この事例から学ぶことができるのは、今までの当たり前を疑い、見過ごされてきた問題に対して新しい解決方法を提案し、お客さんに価値を提供する重要性です。

ビジネスの基本は 「お客さんの問題解決」 です。全く新しい問題を見出し解決するか、人々が解決を諦めていたような問題を新しい方法で解決するかです。想定するお客さんが抱えている問題を解決することで顧客満足度が向上し、ビジネスの成長につながります。


見過ごされてきた問題を見つける方法


では固定観念を打破し、見過ごされてた問題を見つけるためにはどうすればいいのでしょうか?

ヒントは3つの 「外部の目」 にあります。

お客さん目線になる


1つ目の外部の目は顧客視点です。

お客さんからのフィードバックを積極的に収集し、直面している問題や不満を理解するようにします。具体的には、お客さんとの直接的な対話やアンケート、SNS を通してなど、さまざまな方法で顧客の声を聞くことによってです。

また、お客さんの日常生活や習慣を観察することで、お客さん自身が気づいていない潜在的なニーズや問題の発見につながります。

異業種の視点を持つ


他の業界での成功事例やアイデアを参考にすることで、自分たちの業界にはなかった解決策を探ります。

異業種では普通にされていることでも、自分たちの業界にはまだないアプローチであれば活用できるヒントが得られます。

外部リソースを活用する


チームメンバーだけではなく外部の専門家のフレッシュな視点を取り入れることで新しいアイデアが生まれます。

また、外部リソースには、マーケティングに関する書籍や記事、セミナー、ワークショップなども当てはまります。最新のトレンドやアイデアを学ぶことで、自分自身の知識やスキルが向上し、新しい着想につながります。

* * *

これらの 「外部の目」 を取り入れ、常識や固定観念にとらわれず、お客さんの潜在的なニーズや問題を発見します。


まとめ


今回は家族内のカレー問題を解決する 「大人のカレースパイス」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • お客さんの問題を解決し、価値を提供することがビジネスの成功の原則

  • 全く新しい問題を見出し解決するか、人々が解決を諦めていた問題を新しい方法で解決する

  • 見過ごされた問題を見つけるためには、お客さんとのコミュニケーションを大切にし、異業種にも目を向け、外部リソースを活用するなど 「外部の目」 を取り入れよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。