投稿日 2023/06/13

イノベーションの力。スローコンベックスメジャーに学ぶ商品開発とマーケティング

#マーケティング #イノベーション #価値の伝え方


あなたはこれまで、長さを測った後の 「メジャーの恐怖」 を感じたことはあるでしょうか?

メジャーの恐怖とは、メジャーを巻き戻すときに勢いがありすぎて指を怪我をするのではないかと怖い思いをすることです。

ご紹介する 「スローコンベックスメジャー」 は、この問題を見事に解決しました。画期的なメジャーから学べるマーケティングのヒントをぜひ一緒に学んでいきましょう!

ゆっくり巻き戻る 「スローコンベックスメジャー」 



デザインフィルが開発した 「スローコンベックスメジャー」 は、従来の巻き取り式メジャーの怖さを解決する新たな文具です。

スローコンベックスメジャーは、テープを引っ張り出した後、手を放すと、自動的に戻ってくる仕様だ。既存のコンベックスメジャーとの違いは、その戻る速度が遅過ぎず、早過ぎず、絶妙なのだ。しかも、最初はスピードが速く、手元に近づくにつれて遅くなっていく。速度のグラデーションが何とも気持ち良い。

テープの長さを固定したい場合は、本体の側面を押さえるだけでよい。側面とテープが連動して回転するためで、直感的に扱えるのが特長だ。ストップボタンのような余計なパーツが必要ない分、本体サイズをコンパクトにできた。

その結果、子供の手でも使いやすい製品になり、第16回キッズデザイン賞特別賞 東京都知事賞 「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」 や、2022年度のグッドデザイン賞を受賞している。

学べること


ではスローコンベックスメジャーから、学べることを掘り下げていきましょう。

従来のメジャーの課題と解決策


これまでの一般的なメジャーは巻き戻す際に勢いよく手元に戻り、大人でも怪我をするのではないかと恐い気持ちになる人もいたでしょう。特に子どもにとっては、恐怖を感じる道具となっていました。

こうした問題に対処するために開発されたのが、「スローコンベックスメジャー」 です。巻き戻るスピードをゆっくりにし、手元に近づくにつれて遅くなっていくというユーザーへの配慮が施されています。

イノベーションとは人々が諦めていた問題を解決


メジャーへの恐怖は誰もが 「メジャーとはそういうもの」 と受け入れざるを得ず、怖い気持ちを無理やり抑え込んでいました。人々は仕方ないものと思っていたわけです。

しかし、スローコンベックスメジャーは、新しい解決策によって価値をもたらし、人々が長く諦めていたメジャーの問題を解決しました。これはまさにイノベーションの事例と見ることができます。

イノベーションとは 「未来の当たり前をつくること」 です。人々が長く諦めていた問題ほど、解決されたときのインパクトは大きくなります。

マーケティングへの応用


今回の話から、マーケティングに活かせるポイントがいくつかあります。

まず、お客さんの潜在的なニーズや不満を見つけ出し、それを解決する商品やサービスを開発することが重要です。競合他社との差異化が実現し、お客さんの心をつかむことができるでしょう。

商品開発では機能性だけでなく、ユーザー体験にも着目することもポイントです。スローコンベックスメジャーの例では、ユーザーは恐怖心を感じなくても済むという価値につながりました。

また、新たなマーケットや顧客層の開拓の視点でも学びがあります。スローコンベックスメジャーは、従来のメジャーを敬遠していた子どもや安全性に敏感な人にもアプローチできるようになりました。

最後に、画期的な商品・サービスがもたらす価値をお客さんにわかりやすく伝えることの重要性も忘れてはいけないポイントです。

解決したい問題や提供する価値を明確にし、商品のことをターゲット顧客の文脈に沿ったお客さん目線で意味づけし、お客さんにとっての価値をメッセージに変換して伝える。ここに商品やサービスの成功へと導く鍵があります。


まとめ


今回は、ゆっくり巻き戻るスローコンベックスメジャーを取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • イノベーションとは 「未来の当たり前をつくること」 。人々が長く諦めていた問題ほど、解決されたときのインパクトは大きい

  • 商品の機能だけでなくユーザー体験にも着目し、新たなマーケットや顧客層の開拓を目指す

  • 商品・サービスがもたらす価値をわかりやすく伝えることが大事。解決する問題と提供価値を明確にし、ターゲット顧客の文脈に沿ったお客さん目線で商品を意味づけし、提供する価値をメッセージに変換しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。