投稿日 2024/07/03

お酒の美術館のコンビニバー。初心者に配慮されたユーザー体験設計で新規顧客を獲得する方法

#マーケティング #新規顧客獲得 #初心者へのユーザー体験設計

ビジネスを成長させるためには、新しいお客さんを引き込むことは必要不可欠です。

今回は、新規顧客獲得の秘訣をコンビニバーの事例から紐解きます。

お客さんの利用のハードルを下げる打ち手、それによって顧客基盤を広げ、ブランド価値を高める方法を掘り下げます。

コンビニバー 「お酒の美術館」 


出典: PR TIMES

 「お酒の美術館」 というバーが、ファミリーマートの店内にもコンビニバーとして設置されました。

お酒の美術館を運営するのは NBG です。北海道から鹿児島まで、国内に約80店舗を展開しています。ウイスキーを中心に、入手困難なジャパニーズウイスキーを含む豊富な品揃えを誇ります。

お酒の美術館は、訪れる人々には手頃な価格でカジュアルにお酒を楽しむ機会を提供します。

ファミマの 「お酒の美術館」 では、ファミチキをはじめとするコンビニで販売されている食品を持ち込んで飲酒することができます。ファミチキ専用ハイボールなどのオリジナルドリンクが用意されていて、他にはないユニークなバーです。

値段的には1,000円で十分に酔えるという “せんべろ” が、コンビニという身近な場所で楽しむことができるのが魅力です。

コンビニにも拡大した 「お酒の美術館」 は、2024年8月には国内最大規模のバーチェーンへと成長する可能性が高まっています。計画では8月まで110店舗への展開が予定され、これにより英国風パブ 「HUB」 の104店舗を上回る規模になる見込みです。


利用のハードルを低くする


では 「お酒の美術館」 がファミマ店内にも展開するという事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

この事例は、カテゴリー初心者やライト層のお客さんを取り込むために、どうすればいいかのヒントを与えてくれます。

初級者のためには、いかに商品利用やサービスの利用への敷居を低くできるかがポイントです。「お酒の美術館」 からの示唆は、ハードルを低くするためには、次のような要素が大事になってくることです。

  • 手順が簡単。覚えることが少なく、初期設定が容易。やることがわかりやすい
  • 時間がかからない
  • 多くのお金を必要としない
  • 今のその人の習慣や既存の生活動線の中に入る。今の延長でできる

これら4つを 「お酒の美術館」 に当てはめると、それぞれ次のようになります。

手順が簡単


 「お酒の美術館」 は利用方法がシンプルです。

ファミリーマートというコンビニ内に設置されたこのスペースでは、予約などをする必要がありません。ファミマのような身近な場所でアクセスでき、ファミチキなどのコンビニ食品を持ち込みながら、「お酒の美術館」 のオリジナルドリンクを楽しむことができます。

利用するのに特に難しいことは何もなく、コンビニでアルコールが飲めるというわかりやすさは、バーに馴染みのない初心者にとって参加への心理的・物理的なハードルを下げています。

時間がかからない


お酒の美術館は、お酒を楽しむための準備に時間を要することはありません。

コンビニに立ち寄るついでに、気軽に利用できます。利用するのに時間がかからないという利便性は、忙しい日常生活の中でもお酒を楽しむ時間を簡単に見つけることができます。

多くのお金を必要としない


1000円で十分に酔えるという “せんべろ” になるような、お酒の美術館では少ない予算でも満足できるアルコール飲料がそろっています。

この手頃な価格設定は、バーでお酒を飲むことにまだ慣れていなく、お金をたくさん払うのに躊躇する気持ちを持つライトユーザーや初心者にとって魅力となることでしょう。

今の習慣や既存の生活動線の中に入る


お酒の美術館がコンビニ内に設置されていることは、お客さんの今の習慣や生活動線の延長にあることを象徴しています。

 「お酒の美術館」 は多くの人が日常的に利用するコンビニの中にバーがあるので、いつもの行動や習慣の範囲の中で自然と目にし、利用するために習慣を変える必要はありません。バーのお店に訪れるために繁華街などの特別な場所へ行く必要はなく、日常生活の流れの中で自然にお酒を楽しむことができるのです。


ビジネスの持続的な成長のために


では最後に、なぜ新規のお客さんやライトユーザーを取り込む必要があるかについてあらためて考えてみましょう。

離反顧客を上回る新規顧客の獲得


前提として押さえておきたいビジネスで大事なことは、どんな商品やブランドであっても一定数の離れてしまう離反顧客は存在するということです。

流出してしまうお客さんの数を上回る 「流入する新規のお客さん」 を獲得することによって、ビジネスは成長していきます。一方、流入より流出が多くなる状況では、そのビジネスは衰退していってしまいます。

だからこそ常に新規ユーザーを獲得し、その中の多くを占めるであろう初心者やライトユーザーに配慮するユーザー体験設計が大事になるのです。

利用のハードルを下げる


お酒の美術館の事例は、この点において示唆に富みます。

アクセスしやすい手軽さ、簡単でわかりやすい利用方法、手頃な価格設定、そして既存の生活習慣や動線に溶け込むサービスの提供は、新規のお客さんとなるカテゴリー初心者やライトユーザーにとって魅力となります。

これらの配慮された体験設計の要素は、利用の入口を通る敷居を下げ、未経験者、興味はあるがなかなか一歩を踏み出せなかった人を引き込むのに効果的です。

初心者に優しいユーザー体験


ビジネスにおける新規顧客の獲得は、多様な顧客層にリーチでき、顧客基盤を広げることにつながります。

新しいお客さんの中から2回目3回目と続けて利用してくれるリピーター、さらには信頼や愛着を持って使ってくれるファンを増やすことができれば、さらなる良い評判の獲得やブランドとしての価値向上にもなるでしょう。

そのための第一歩として、初心者やライトユーザーが習慣を変えることなく、ちょっとしたついでのように気軽に試せ、手を伸ばしやすいユーザー体験の入口を設計することが重要になります。

この点から、お酒の美術館はビジネスで幅広い業界で参考になります。


まとめ


今回は 「お酒の美術館」 のファミマ内のコンビニバーから、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 新規顧客の獲得はビジネスを成長させるために必要。離反顧客を上回る新規の流入数を増やすためには、利用への入口のハードルを下げることが大事

  • 初心者やライトユーザーを引き込むためには、① 手順が簡単 (覚えることが少なくやることがわかりやすい) 、② 時間がかからない、③ 多くのお金を必要としない、④ 習慣や生活動線の中に入り今の延長でできるといい

  • 新規顧客に配慮されたユーザー体験設計は、多様な顧客層へのリーチと顧客基盤の拡大につながり、ブランド価値向上にも貢献する


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。