#マーケティング #UGC #お客さんの使い方
自社で提供する商品やサービスの真の価値、見逃されがちな魅力を発見するカギは、意外にもお客さん自身の手にあります。
お客さんに普段の使用方法を共有してもらうことで、新たな使い方や魅力に気づき、お客さんと、そしてお客さん同士の共感や信頼を深めることができます。
では、どうすればいいでしょうか?
今回はタカラトミーのおもしろい事例から、その秘訣を紐解きます。
タカラトミーの UGC 活用
タカラトミーが、公式サイトの 「タカラトミーモール」 で、子どもたちがタカラトミーのおもちゃで遊ぶ写真や動画をたくさん並べています。
これらは、タカラトミーの会員が Instagram で投稿した UGC (User Generated Contents ユーザー生成コンテンツ) です。
みんなの投稿からおもちゃをさがす
サイトには 「みんなの投稿からおもちゃをさがす」 というページがあります。
色々な遊び方がリアルにわかる UGC の活用により、ユーザーはタカラトミーのおもちゃの遊び方や商品の選択肢を広げることができます。知らなかった商品との出会いにもなり、UGC が商品購入の参考になることでしょう。
掲載されている UGC
たとえばミニカーの 「トミカ」 の投稿を見ると、トミカのミニカーをたくさん並べていたり、「スライダーパーキング 50」 という駐車遊びやスライダー遊びが楽しめる立体駐車場で遊んでいます。子どもたちがトミカのおもちゃでどのように遊んでいるのかを写真や動画で見ることができます。
各投稿をタップ / クリックをすると、投稿に付けられたテキストコメントと、投稿に写っている商品の公式写真、商品の詳細ページへ遷移する 「おすすめ商品はこちら」 が表示されます。
リアルな投稿情報が購入の参考情報に
買うおもちゃをすでに目星をつけている人は、そのおもちゃでどんな遊び方ができるか、持っている商品に何を追加すれば、さらに楽しめるのかを知ることができます。
まだ、どれを購入するかをまだ決まっていない人にとっては、何歳ぐらいの子が楽しめるのか、どんな商品があるのかを知ることで選ぶときの参考情報になるでしょう。
ちなみに、公式サイトで UGC を取り入れたことについてのユーザーへのアンケート調査では、 「今まで知らなかった商品との出合いがあった」 という声も寄せられたとのことです (参考記事) 。
UGC 情報が追加されたことで、サイトには子どもたちが楽しく遊ぶ様子があふれています。無機質なカタログのような場ではなく、温度感を持った温かいサイトです。
UGC を活用する意味
ではタカラトミーの話から、学べることを掘り下げていきましょう。
タカラトミーの事例は、UGC というユーザー生成コンテンツをどう活用するかに示唆を与えてくれます。
お客さんは自分の使い方に世界一詳しい
タカラトミーのアプローチで注目したいのは、お客さんに自分 (たち) の最もよくやる使い方、そのお客さんにとってベストな使い方について、“ありのままの様子” を共有してもらっていることです。
投稿される内容は、子どもや親子で普段からいつものようにやっている遊び方です。自分自身の使い方・遊び方については、自分たちが最も詳しいと言えます。その利用方法をシチュエーションと併せてお客さんに紹介してもらうわけです。
お客さんの使い方を知ることの恩恵 (1/2)
お客さんの使い方を知ることには恩恵があります。
1つ目の恩恵は、実際に商品を使っているお客さんの利用シーンを具体的に理解できることです。
お客さんの自社商品の使い方の中には、売り手が想定していなかったような多様なものがあります。
であれば、いっそのことお客さんに使い方を教えてもらい、お客さんの利用方法を通して、お客さんのこと、そして商品についても売り手にとって商品の知らなかった側面や魅力に気づくことができます。
お客さんの使い方を知ることの恩恵 (2/2)
お客さんの使い方を知ることで得られる2つ目の恩恵は、顧客理解や商品理解を商品開発やマーケティングに活用できることです。
たとえば、お客さんの使い方を他のお客さんにも紹介することで、既存のお客さんとのコミュニケーションや新規のお客さんの獲得にもつなげられます。
タカラトミーの場合は、実際のユーザーである子どもたちによるリアルな遊び方やおもちゃの使い方は、商品の魅力をより説得力のあるものに変えます。
作り手や売り手の視点での商品紹介ではなく、消費者は同じ親や子どもの目線での使い方を見ることで、リアリティのある遊び方を知ることができるわけです。様々なおもちゃの遊び方が写真とコメントからわかりやすく一覧で並ぶことで、「こんな遊び方があるのか」 という発見もあることでしょう。
すでに同じおもちゃを持っている既存のユーザーには、自分が知らなかった新たな遊び方に気づくことで、試してみたくなります。
また、これから買う新規のお客さんにとって、他のユーザーの遊び方や使用方法は製品カタログや企業が提供する情報よりも親しみやすく、実用的な参考情報となります。
買った後の使い方や遊び方までイメージできるので、買う前の段階で 「これなら子どもも楽しめそう」 と期待でき、買った後に 「こんなはずではなかった」 という失敗が起こる確率を下げられます。
UGC を商品開発やマーケティングに活用する
ユーザーが自らの体験を共有することで生み出されるコンテンツは、ただの商品紹介を超え、共感や信頼を構築するツールとなります。
UGC をうまく使えば、商品の価値をお客さん自身の言葉や写真で発掘したり伝えることができ、企業がお客さんとより深い関係を築くための有効な手段になります。タカラトミーの事例は、顧客主導のコンテンツ生成が、企業にはマーケティングの武器になり得ることを示しています。
UGC を通じた顧客体験の共有は、企業とお客さんの間の距離を縮める効果も持っています。
企業がお客さんの声を積極的に取り入れ、それを商品開発やマーケティングに活かす姿勢を見せることで、お客さんは自分自身が企業にとって価値ある存在であると感じ、企業への愛着や親近感、信頼感を深めるでしょう。
また、このプロセスはお客さん同士の中でコミュニティのような空間を生み、顧客間での情報共有や商品に対する熱意を高める場をつくります。
タカラトミーの UGC 活用事例から学べるのは、お客さんが生み出すコンテンツの力を最大限に活用することの重要性です。企業がお客さんの体験や声を尊重し、それをマーケティングなどのビジネス活動の中心として位置づけることで、より深い顧客理解と強い顧客関係を築き上げることができるのです。
まとめ
今回はタカラトミーの UGC 活用事例から、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- お客さんやユーザー自身が普段やっている方法、商品の使い方を共有してもらうことで、作り手や売り手は具体的な利用シーンから商品・サービスの自分たちでは気づかなかった魅力を知ることができる
- お客さんの利用シーンを他のお客さんに紹介することで、既存顧客には新しい使い方の発見になり、新規のお客さんには商品を買った後の具体的な使用方法や得られる価値をイメージしてもらえる
- UGC は商品紹介からの認知や興味喚起にとどまらず、商品開発やマーケティングへ活用でき、そしてお客さんからの共感や信頼を築くためのツールになる
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