今回のキーワードは 「差異化」 です。
おもしろいと思った介護施設を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- らしくないデザインの介護施設が人気
- マーケティングでの差異化のポイント2つ
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ユニークな介護施設
ご紹介したいのは、長野にあるユニークな介護施設です。
オフィス家具や介護向け製品を販売するタカサワ通商 (長野県松本市) が介護施設運営事業を拡大している。
7月には4カ所目を開き、今後も3 ~ 5年ごとに施設を増やす予定だ。商業施設の内装ノウハウを生かした 「介護施設らしくない」 デザインが受け、計画を上回るペースで入居が進む。施設に商社事業の顧客を招き、機器の見学や研修を実施するなど相乗効果も生まれている。
引用内にあった、商業施設の内装ノウハウを生かした 「介護施設らしくないデザイン」 について、続けて記事から見てみましょう。
内装では、壁紙や照明、オフィス家具を取り扱う商社としての知見も生かした。
スーパーマーケットなど商業施設のデザインを手掛ける社員らでアイデアを出しあい、食堂では介護用の椅子ではなく、レストランでも使われている明るい色の椅子を採用した。「介護施設らしくない、明るい雰囲気を出すことにした」 (小沢氏 (引用者注: 介護施設運営を担当する常務の小沢慶信氏) )
食堂の天井の壁紙に描かれた空の色は、照明によって時間帯に応じて変わる。新型コロナウイルスの流行で室内にいる時間が増えるなか、時間感覚を失わないようにする狙いだ。
新型コロナ感染対策として、窓越しにインターホンで会話できる設備も導入した。これまでに、計画値の2倍の入居者が入ったという。
リゾートタウンふれあい波田の食堂 (出典: みんなの介護)
窓越しにインターホンで来客と会話できる (出典: 日経)
学べること
今回の話から学べるのは、差異化についてです。他との違いをどうつくるかです。
デザインでの差異化
これは一般的な話としてですが、商品やサービスの機能だけで差異化を図るのは簡単ではありません。
もちろん、作り手には技術的な機能の優位性がわかっていますが、使い手であるお客さんにとってとは、その違いを感じられないことがあります。
機能性で差異化できない場合にどうするかと言うと、今回の事例からの示唆はデザインをかけ合わせると良いです。
長野にあるタカサワ通商の介護施設に当てはめれば、「介護施設らしくない」 と表現された室内空間のデザインです。
具体的には、食堂では介護用の椅子ではなくレストランで使われるような明るい色の椅子、天井には壁紙に空を描き、色は照明によって時間帯に応じて変わるというデザインです。
その違いは価値を生んでいるか
マーケティングの視点で大事なのは、差異化ができたとして、結局のところはその違いがお客さんへの価値につながっているかです。
お客さんが他との違いに気づけたとしても、お客さんのメリットになっていなければビジネスでは意味がありません。介護施設ではデザインがめずらしいだけでは意味をなさず、らしくないデザインによって入居者が過ごしやすく、また施設の職員も働きやすいと思えるかが重要なのです。
最後に、差異化で大事なポイントをまとめると、
- 違いをお客さんが認識できるか
- その違いは価値を生んでいるか
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