今回のテーマは、コミュニティ運営です。コミュニティをどうやって活性化させるかという話です。
おもしろいと思ったシニア向け SNS をご紹介し、マーケティングの視点を入れて学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- シニア向け SNS 「らくコミュ」 が活発
- 人気の理由
- マーケティング視点でのコミュニティ運営
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
らくコミュ
出典: FCNT
シニア向け SNS
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
IT (情報技術) 企業の FCNT (神奈川県大和市)が運営する 「らくらくコミュニティ」 (らくコミュ) は会員数260万人を有する日本最大級のシニア向け SNS (交流サイト) だ。
利用者は70代が 43% 、60代が 25% 、80代が 15% で圧倒的にシニア層が多い。他社の SNS では20代 ~ 40代が多いのと対照的だ。
シニア層が多い理由は、シニア向けの 「らくらくスマートフォン」 の購入者の受け皿として 「らくコミュ」 をつくった経緯があるからとのことです。
上記記事によれば、らくコミュの利用者の 95% が、らくらくスマートフォンを利用しているそうです。
人気の理由
らくコミュはシニアの会員数が多いだけではなく、投稿も活発です。
月間アクティブユーザー数が約90万人、1日の投稿数が約5万件というのはかなり活発といえ、そこには理由がある。
人気コンテンツの1つが 「みんなで歩こう!秋を感じる花散歩」 。その日歩いた歩数を入力し、散歩中に見つけた花の写真をタイトルと共に投稿する。健康意識の高いシニアにとってウオーキングと花の撮影は相性が良い。
さいたま市の武藤良子さん (仮名 72歳) は 「らくコミュのおかげで花や草木の写真を撮ったり、絵手紙を描いたり、趣味の幅が広がった」 と言う。
「俳句コンテスト」 も人気だ。俳句のタイトル、季語を含む五七五の句を決められた枠に入力し、背景を選び投稿する。すると画面上に背景と共に縦書きで表示される。この表示形態が日本語特有の俳句らしく評判が良い。
これらのシニア好みの "鉄板コンテンツ" がそろっていることが活発な理由だ。
シニアの人たちが投稿しやすくなるテーマが定期的に投げかけられているんですね。
例えば、季節を感じさせるテーマでの写真投稿は、散歩の様子を共有したくなるような工夫がされています。俳句というのもシニアならではでおもしろいですよね。
利用者の声
では、利用者はらくコミュをどのように評価しているかと言うと、
千葉県松戸市の田中仁さん (仮名 77歳) は 「既存の SNS だと何を投稿すればよいか迷うが、らくコミュにはいつもテーマがあり、定型に従って投稿すればよいので続けやすい」 とのことだ。
シニア層には既存のフェイスブックやインスタグラムなどが 「とっつきにくい」 と感じる人が多い。友達申請は受けても、よく知らない人たちとの表面的な交流は好まない。
一方、らくコミュでの対話のペースや共通のテーマで結ばれた人たちとの交流は楽しく心地よい。事務局によれば30人程度の人たちと深くつながる場合が多いという。
運営方針
らくコミュのコミュニティ運営の方針も見てみましょう。
SNS の運営事務局が24時間投稿を監視しており、個人情報の漏洩防止、誹謗 (ひぼう) 中傷禁止などトラブル発生を未然に防いでいる。
SNS に慣れていないシニア利用者に安心感を提供していることも、らくコミュが継続的に利用されている理由だろう。これはガラケーの 「らくらくホン」 の時代から続いている設計思想で、他の SNS には見られない特徴だ。
学べること
では、ここからはらくコミュから学べることを掘り下げていきます。
らくコミュから学べるのは、コミュニティ運営についてです。
どこまでの自由をコミュニティに入れるかの設計で、規律と自由のバランスです。運営が中央集権をどのくらい強化するかとも言えます。
コミュニティ運営に唯一の答えはありません。コミュニティが10個あれば10通りの運営方針があるという世界です。
ただ、もし答えのようなものがあるとすると、コミュニティにいるメンバー、すなわちお客さん次第です。
らくコミュは、Facebook などの他の SNS を使いにくいと感じるシニアにとって、居心地のよいコミュニティになっています。
彼ら・彼女らが求めるニーズ、どこに使いにくさがあるのかなどを理解し、ユーザー目線になっての運営方針にしているのがらくコミュです。
コミュニティ運営でもマーケティングの顧客視点は大事ですね。
まとめ
今回はシニア向け SNS の 「らくコミュ」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ マーケティング視点でのコミュニティ運営
- コミュニティ運営に唯一の答えはないが、正解を求めるならコミュニティにいるメンバー (お客さん) 次第
- 求めるニーズ、どこに使いにくさがあるのかなどを理解し、ユーザー目線を入れるとよい
- マーケティングの考え方も入れてコミュニティを設計と運営をしよう
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