投稿日 2023/01/15

マンション販売方法に学ぶマーケティング。お客さんの期待を超える方法


今回のテーマは、「お客さんの期待を超えるためにはどうすればいいか」 です。

高級マンションの販売員の方から、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • 高級マンション販売するプラスアルファの後押し
  • マーケティングとの共通点
  • お客さんからの期待を超える方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

高級マンションの販売


今回は日経新聞で紹介されていた、ある販売員の方の話です。

人生で最も高い買い物とされるマイホーム。三菱地所レジデンスの番町ギャラリー (東京・千代田) で働く松田つみきさん (28) は1億円以上の高額マンションを中心に販売する日々だ。

モデルルームで接客した際に寄せられる要望や質問は購入検討者で千差万別。与えられた 「宿題」 に対し、プラス α の準備で応え、顧客に寄り添うことで購入を後押ししていく。

プラス α で後押し


お客さんのマンション購入につなげる 「プラス α」 とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

続けて記事から見ていきましょう。

 「検討されている部屋の広さや形状はこんな感じです」 。モデルルーム内の応接室で優しく語りかける。ただ言葉で伝えるのではなく、用意した資料を使って説明する。仮想現実 (VR) も活用し、購入検討者に、より住戸のイメージを持ってもらうのが狙いだ。

当たり前の接客のように見えるが、購入を検討する経営者や富裕層から求められた要望ではない。前回の打ち合わせが終わった後に会話の内容を思い出しながらメモに残し、顧客の関心事や注目点を自分自身で推測しながら対応したのだ。

 「ここまでしてくれるとは思わなかった」 。購入検討者から感謝の言葉をもらうことも少なくない。

かつての上司の接客方法


この販売員の方が、今のような接客をするようになったきっかけは、かつての上司でした。

こうした細やかな対応は入社後に出会った上司から学んだ。

配属された用地取得の部署では新築分譲マンションを建てるため、土地を持つ地権者との信頼関係が欠かせない。

完成した物件に地主が原則住むなか、「バルコニーからの眺望は?」 などの質問が届く。要望を受けると、上司はすぐさまゼネコンと組んで眺望のシミュレーションを作成。次の打ち合わせで詳細な資料とともに説明する姿に、大きな刺激を受けた。

学べること


では、ここまで見てきたマンション販売の方法から、マーケティングに学べることを掘り下げていきます。

今回の話とマーケティングとの共通点として、「顧客インサイト」 があります。

顧客インサイト


マーケティングで重要なのは、お客さんの理解です。

お客さんの理解度を、相手が直接言うことだけではなく、時には本人以上にお客さんのことを深く理解することが大事です。

深さのレベルは、お客さんが自分自身でも気づいていないこと、なんとなくわかっていてもうまく言葉に表せないこと、あるいは説明はできるが人に知られるのが恥ずかしい本音です。

こうした奥にある心理で、そうだと気づけば本人のものの見方や行動に結びつく気持ちを、マーケティングでは 「顧客インサイト」 と呼びます。顧客インサイトとは、お客さんを動かす隠れた気持ちです。動かすとは、買う、使う、行くなどの行為につながることです。

お客さんからの期待を超える方法


ここでマンション販売の話とつなげると、今回の事例から学べるのは 「お客さんの期待を上回る方法」 です。

結論から先に言えば、顧客インサイトを見出し、インサイトを満たす価値を提供することで相手の期待を超えられます

先ほどの記事には次のように書かれていました。

どうすれば顧客が満足する接客をできるようになるか。

まず意識したのが話すことと聞く時間のバランスだった。購入検討者によって人柄や特徴も異なるため、早口で話す人には普段より速く説明。細かな内容を求める顧客にはできるだけ具体的に詳しく資料を作るように心がけた。

試行錯誤を続け、手応えを感じ始めたのが販売部門に移って2年目の冬ごろ。「プラス α」 の準備による細やかな対応で信頼関係を築きつつ、購入検討者の本音を聞く余裕も生まれた。モデルルーム内の移動時やマンションが建つ現地に向かうタクシーで、奥さんとの何気ない会話を販売のヒントにする。

行き着くのは人間理解


どんなビジネスでも、結局のところはお客さんの理解に尽きます。

お客さんのことを表面的な理解で終わらず、「顧客インサイト」 という奥にあり、本人も普段は意識していないような人間心理までです。

マーケティングのお客さんの理解で行き着く先は 「人間理解」 です。

本人以上に、いわば赤の他人であるマーケターがお客さんのことを理解する。そして、見せられて 「そこまでやってくれるのか」 と思われる価値を提供する。マーケターとして目指したいレベルです。


まとめ


今回はマンション販売の方法から、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お客さんの期待を超える方法
  • 顧客インサイトを見出し、インサイトを満たす価値を提供することで相手の期待を超えられる
  • どんなビジネスでも、結局のところはお客さんの理解に尽きる。お客さんの理解で行き着く先は人間理解
  • 見せられて 「そこまでやってくれるのか」 と思われる価値を提供しよう


マーケティングレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げて、マーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。