投稿日 2023/01/18

ドラッカーの 「現代の経営」 に学ぶ、企業の目的とマーケティングの役割


今回は、ドラッカーの本からマーケティングとは何かを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • ドラッカーが一言で言う 「企業の目的」 とは?
  • 企業内でのマーケティングの位置づけ
  • マーケティングの本質

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ドラッカー 「現代の経営」 


今回はドラッカーの著書から、マーケティングの本質を考えていきます。

取り上げる本は、現代の経営[上](P F ドラッカー, 上田惇生) です。


企業の目的


マーケティングの話に入る前に、そもそもとして 「企業の目的」 について見ていきましょう。

原文では 「purpose of a business」 と書かれていて、ドラッカーは 現代の経営[上]に次のように書いています。

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。

企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。

市場は、神や自然や経済によって創造されるのではなく、企業によって創造される。

ドラッカーは企業の目的をたった一言で 「顧客の創造」 と言っています。

ちなみにもともとの原文では 「the purpose of business is to create a customer」 と表現されています。顧客を customers と複数形ではなく、興味深いのは単数形で 「a customer」 としていることです。まずは1人のお客さんからつくっていくべきであると。

企業の目的は、1人ひとりのお客さんを獲得し積み重ねていくという 「顧客の創造」 だとドラッカーは捉えているのです。


企業内のマーケティングの位置づけ


では次に、企業の中でのマーケティングの位置づけを見ていきましょう。

企業の2つの機能


ドラッカーは企業には2つの基本的な機能があると言っています。

企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。この二つの機能こそ起業家的機能である。

マーケティングは企業に特有の機能である。財やサービスを市場で売ることが、企業を他のあらゆる人間組織から区別する。教会、軍、学校、国家のいずれも、そのようなことはしない。

財やサービスのマーケティングを通して自らの目的を達成する組織は、すべて企業である。逆に、マーケティングが欠落した組織やそれが偶発的に行われるだけの組織は企業ではないし、企業のようにマネジメントすることもできない。

マーケティングの活動範囲


企業の中で、マーケティングはどういった位置づけになるのかについて、続けて本から引用します。

マーケティングは企業にとってあまりに基本的な活動である。

そのため、強力な販売部門をもち、そこにマーケティングを任せるだけでは不十分である。マーケティングは販売よりもはるかに大きな活動である。それは専門化されるべき活動ではなく、全事業に関わる活動である。

まさにマーケティングは、事業の最終成果、すなわち顧客の観点から見た全事業である。したがって、マーケティングに対する関心と責任は、企業の全領域に浸透させることが不可欠である。

ドラッカーが書いているのは、マーケティングは専門化された機能にとどまらず全社的に関わる活動だということです。

解釈を入れると、マーケティング活動するのはマーケティング部だけではなく、マーケティング部以外の企業内のあらゆる人がやるべきだと言っているわけです。

そもそもマーケティングとは何か


ドラッカーの指摘は示唆深いです。

ここまでの内容を整理すると、

  • 企業の目的は 「顧客の創造」 。Create a customer という 「1人の顧客」 をつくることから
  • 企業の2つの機能はマーケティングとイノベーション
  • マーケティングは全社的に関わる活動

これらの文脈からあらためてマーケティングとは何かを言語化すると、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。

マーケティングは社内の一部門だけでやるのではなく、会社全体で取り組む活動ということで 「活動全般」 という表現にしています。

ドラッカーの言う企業の目的は 「顧客創造」 であり、1人のお客さんを獲得するとは自分たちがお客さんに選ばれることを意味します。自社商品やサービスが選ばれるのを偶然に頼るのではなく、意図を持って能動的に高めていくのがマーケティングなのです。

 「自分がやっている仕事は、最終的にお客さんに選ばれることにつながっているか」 。

マーケター (ドラッカーの言葉を使えば全てのビジネスパーソン) が持っておきたい問いかけです。


まとめ


今回はドラッカーの 現代の経営[上]を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。


最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケティングの本質
  • マーケティングとは、お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般
  • 自社商品・サービスが選ばれるのを、偶然に頼るのではなく意図を持って能動的に高めていくのがマーケティング
  • 社内の一部門だけでやるのではなく、マーケティングは会社全体で取り組む活動


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。