投稿日 2023/01/23

果汁飲料 Qoo の施策に学ぶ、マーケティング 4P の使い方と注意点

出典: Qoo

今回のテーマはマーケティング 4P です。

飲料ブランドの Qoo (クー) を取り上げてマーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • 果汁飲料 Qoo リニューアル後のマーケティング施策
  • 各施策の共通点
  • マーケティング 4P の使い方と注意点

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

果汁飲料 Qoo のマーケティング


出典: PR TIMES

ご紹介したいのは果汁飲料の Qoo です。

リニューアル後の施策


売上が好調で、リニューアル後に展開しているマーケティングが成果を出しているとのことです。

日本コカ・コーラの果汁飲料 「Qoo (クー) 」 が勢いを加速させている。

2022年1 ~ 9月の累計出荷量は前年比 10% 以上増。2022年3月にパッケージリニューアルを実施し、子育て世代の30 ~ 40代の親と小学生や幼児などその子どもを中心に、楽しい時間を喚起するマーケティングが成果をあげている。

Qoo のターゲット顧客を、子育て世代の30 ~ 40代の親とその子ども (小学生や幼児など) に設定しています。

マーケティングで興味深いのは飲料の商品の中身は変えずに、パッケージ、コミュニケーション、店頭での施策を展開していることです。

ではパッケージから順番に見ていきましょう。

パッケージ


出典: PR TIMES

リニューアルした Qoo は商品パッケージを効果的に使っています。

商品は、果汁飲料2種とパウチゼリー 「ぷるんぷるん Qoo」 5種。従来の中身仕様は変更せず、裏面に 「やらかし Qoo」 のキャラクターを描くなどパッケージをかわいらしくし、キャンペーンと連動させている。

飲料のラベルは子どもでもはがしやすく、はがすとボトルに Qoo のキャラクターのエンボスが出てくる。一方、ゼリーには、カルシウムや鉄分などの栄養素を表記し合成着色料などの不使用を明示。管理栄養士推奨のアイコンを追加し安心感を訴求した。

コミュニケーション


ターゲット顧客である子育て世代の親と子どもに向けてコミュニケーション施策も積極的に展開しています。

テレビ CM でお母さんと子どもが一緒にケーキ作りにチャレンジする様子を描くなど、リニューアル時から親子の成長を応援するコミュニケーションを展開。

キャンペーンサイトを開設し 「あたる」 「あそぶ」 「まなぶ」 コンテンツや Qoo を使ったレシピなどを掲載する。商品に QR コードを印刷し、ポイントをためれば季節ごとに変わる景品に応募できるキャンペーンを継続的に実施している。
出典: PR TIMES

店頭


スーパーやドラッグストアなどのお店で Qoo はターゲット顧客に合った売り場の工夫をしました。

Qoo のゼリーは小売り店で飲料売り場のほかに、壁に専用ラックを架け、子どもの目線に入るレジ横に可能な限り配置する。

子どもの関心をきっかけに購入し、レシピを使って親子で楽しめるようにすることでニーズを広げている。

学べること


では Qoo の事例から学べることを掘り下げていきましょう。

マーケティング 4P の使い方に学びがあります。

Qoo の各施策の共通点


Qoo のマーケティングをパッケージ、コミュニケーション、店頭の3つで見てきました。マーケティング 4P に当てはめれば、パッケージは Product 、コミュニケーションは Promotion 、店頭は Place です。

これらの施策を大きく俯瞰して捉えると、共通するのはターゲット顧客に向けて響くように一貫性のある取り組みになっています。

✓ Qoo のマーケティング施策
  • Product: パッケージをかわいらしくしキャンペーンと連動。ラベルは子どもでもはがしやすくした。管理栄養士推奨のアイコンを追加し安心感を訴求
  • Promotion: 親子の成長を応援するコミュニケーションを展開。遊べたり学べるコンテンツを提供
  • Place: 壁に専用ラックを架け子どもの目線に入るレジ横に配置。子どもの関心をきっかけに購入されるよう工夫

マーケティング 4P の使い方


今回の学びを一般化して表現するなら 「マーケティング 4P の中心にターゲット顧客を据えよう」 です。


マーケティング 4P の4つを大きく分けると、売り物 (What) である Product と、売り方 (How) の Price, Place, Promotion になります。

4つの P が全体として機能するのは向き合うお客さん次第です。同じ 4P の中身でもお客さんが変われば成功するときもあるし、うまくいかないこともあります。

マーケティング 4P を考えたり使うときには、4P の中心にお客さんがいるか、どんなお客さんに向けての 4P なのかをまず最初に設定するといいです

逆に言えば顧客不在のマーケティング 4P になってはいけないのです。最初にお客さんを定めてこそのマーケティング 4P なのです。


まとめ


今回は果汁飲料の Qoo を取り上げてマーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケティング 4P の使い方と注意点
  • 4つの P が機能するのは向き合うお客さん次第。4P の中身は同じでもお客さんが変わればうまくいかないこともある
  • 顧客不在のマーケティング 4P になってはいけない。最初にお客さんを定める
  • マーケティング 4P ではお客さんを中心に置き 4つの P で一貫性を持たせよう


マーケティングレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げて、マーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。