投稿日 2023/01/08

一風変わった双方向の自販機。アイデアを一石何鳥にもしよう


今回のテーマは、良いアイデアとは何かです。

おもしろいと思った自販機を取り上げ、学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • 県庁に設置された変わった自販機
  • 双方向性が生む価値
  • 「一石何鳥」 のもアイデアを考えるために

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

一風変わった自販機


ご紹介したいのはこちらの自販機です。

出典: PR TIMES

自販機は日経新聞でも取り上げられていました。

9月下旬、群馬県庁32階の官民共創スペース 「NETSUGEN (ネツゲン) 」 に一風変わった自販機が登場した。

名称は 「イノベーションマシーン」 。県内の事業者が新商品などを販売し、購入者は商品に付いている QR コードを読み込んで、アンケートに答える。事業者は新商品に対する消費者からのフィードバック情報を得られ、回答した購入者はクーポンが手に入る仕組みだ。

同自販機の設置や管理運営をするのが、駐車場をさがせだ。県 NETSUGEN 室と協力し、コオロギのチョコクランチやコンニャクのジュレなど5社の10商品を販売。

県庁内での広告やテスト販売の場を提供するだけでなく、集めたアンケート結果に関して、県や事業者などを集めたミーティングを開催したり、ブランディング会社による分析を提供したりするなど、充実したサポートが売りだ。

双方向性による価値創出


自販機をテスト販売に活用しているのが興味深いです。

おもしろいのは自販機で商品を売るだけではなく、購入者にアンケートをお願いしているところです。

売り手にはアンケートの回答内容から、商品の感想や評価がわかります。アンケート回答者にはクーポンが手に入るメリットがあります。クーポンが用意されていることで、アンケートに回答しようとするインセンティブ (動機) が生まれます。

以上のように自販機での購入には双方向性があり、売り手が売るだけの一方向ではなく売り手と買い手のやりとりがあることで、自販機 「イノベーションマシーン」 は他にはない独自の価値を生み出しています。


アイデアの波及効果


今回の事例から何が学べるかを、もう少し一般化して掘り下げてみます。

結論から先に言うと、良いアイデアとは何か示唆があります。

それは、1つのアイデアで、いくつものメリットを色々な相手にもたらすようにする重要性です。一石二鳥、さらには三鳥や四鳥と 「一石何鳥」 にまでなるのが理想です。

自販機の 「イノベーションマシーン」 では、自販機で買った人には商品が手に入るだけではなく、アンケート回答でクーポンが手に入ります。自販機で商品を販売したメーカー会社には、購入者からのアンケート結果と分析結果をフィードバックとしてもらえます。

イノベーションマシーンを提供する 「駐車場をさがせ」 には、既存の駐車場ビジネス以外のお客さんが増え、収益源にもなります。

学びとして最後にまとめておくと、「そのアイデアには何個のメリットがあるか」 や 「もっとメリットを増やせないか」 を考えてみるとビジネスでのヒントにつながります。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。