投稿日 2023/01/01

マーケティングの原体験、マーケターの存在意義


あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

2023年の最初の記事である今回は、マーケティングの原体験の話から、マーケティングとは何かをあらためて考えます。

✓ この記事でわかること
  • マーケティングの本質
  • 人生を変えたマーケティングの原体験
  • マーケターの存在意義

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

マーケティングの本質


最初に、そもそもの 「マーケティングとは何か」 の言語化です。

マーケティングについては、様々な方が色々な表現をされていますが、ここでは私自身のマーケティングの定義を紹介させてください。

マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。活動全般と言っているように、マーケティングを広く捉えています。

お客さんに選ばれるとは、買ってもらえる、使ってもらえる、来店してくれる、指名されることです。商品やサービスは、お客さんから選ばれ続けることによって生き残っていけます。自分たちのビジネスも存続できます。

お客さんから自分たちが選ばれるのを偶然に頼るのではなく、意図的に選ばれる確率を高めるのがマーケティングの役割です。


マーケティングの原体験


自分がマーケティングに強く興味を持ち、これを仕事にしたいと思ったのはある1冊の本からでした。

本のタイトルは 実況 LIVE マーケティング実践講座 (須藤美和) です。



この本に出会ったのは京都に住んでいた大学生の時で、当時は就職活動中でした。

就活の帰りに四条河原町の本屋に入り、たまたま手にとった本です。「はじめに」 に書かれていた内容に直感的にピンときました。

マーケティングは、突き詰めると、”顧客を魅了 (attract) する" 活動であるといえます。そして、その難しさは、人の心の琴線に触れるというエモーショナルな側面と、きちっと持続的に成長し、利益を上げていくという合理的な側面を持ち合わせていなくてはならないところにあります。

したがって、感性とロジックをうまく組み合わせながら、自社の強みと顧客のニーズ (潜在ニーズ) をマッチさせる方法を探索することが重要です。

優れたマーケターはマーケティング活動の醍醐味を “顧客のハートをつかんだことを実感した瞬間だ” と言います。

これを読んだ時、何か身体の中で電流が流れたような感覚でした。「これだ」 と思ったんですよね。

引用した内容をまとめると、

✓ マーケティングとは
  • マーケティングは突き詰めるとお客さんを魅了する活動
  • 人の心の琴線に触れるエモーショナルとロジカルの両方がある
  • マーケティング活動の醍醐味は 「お客さんのハートをつかんだことを実感した瞬間」 

とても印象的でマーケティングに興味を持ちました。そのまま本を買って、家に帰りすぐに読みました。

これ以降の就活ではマーケティングができる会社が選択基準になりました。この本との出会いは、自分の人生を変えました。


お客さんのハートをつかんだ瞬間


先ほどの3つの最後の、「マーケティング活動の醍醐味は、お客さんのハートをつかんだことを実感した瞬間」 について、もう少し掘り下げてみます。

分解すると3つです。

✓ お客さんの琴線に触れた瞬間
  • 顧客インサイトが見出せた時 (深い顧客理解) 
  • インサイトを満たすソリューションが思いついた・つくれた時
  • 実際にお客さんに喜んでもらえた時 (ソリューションが価値提供になった時) 

3つを順番に補足しますね。

顧客インサイトが見出せた時


顧客インサイトとは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。心のホットボタン、心のツボと言ったりします。

普段は本人も意識していませんが、心の中のボタンを押されて、そうだと気づけば態度が変わり、買うなどの行動につながる奥にある本音です。

お客さん自身も自覚がなかったり言葉にできていないことを、赤の他人であるマーケターがこのレベルまで深く理解するのは簡単ではありません。ここにマーケティングの難しさと、顧客インサイトがわかった時のおもしろさ、うれしさがあります。

ソリューションがつくれた時


2つ目はお客さんに提供するソリューションを思いついたり、つくれた時です。

ソリューションとは、顧客インサイトというお客さんの中に隠れていた不満や欲求を満たす解決策です。マーケティングや商品のアイデアを思いつき、これなら顧客インサイトを満たせると思った瞬間は楽しいです。

実際にお客さんに喜んでもらえた時


3つ目の 「お客さんの琴線に触れた瞬間」 は、お客さんに貢献できた時です。自分がマーケターとして思った 「これならお客さんに喜んでもらえる」 というのが、本当にそうなった瞬間です。

具体的には、お金を払って買ってくれた、利用し続けてくれている、役に立ったと言ってもらえる、感謝されるという、少しでもお客さんの成功や幸せに貢献できていると実感できた時です。

ここには他には代え難い喜びがあります。


マーケターの存在意義


突き詰めると、マーケターの存在意義は、お客さんの幸せに貢献することにあります。お客さんの成功の実現です。

BtoC のマーケティングでは 「生活者の生活をより良くする」 「少しでも幸せになってもらう」 、BtoB ビジネスのマーケティングは 「顧客のビジネスの成功」 を目指します。

マーケティングは、もっと言えばどんなビジネスもお客さんがいて初めて成立します。ビジネスが存続できるのも、お客さんから自分たちが選ばれ続けるからです。

お客さんが選んでくれるのは、他にはない価値があるからです。価値が得られると、お客さんは望みが叶い、困りごとが解消されます。つまり、お客さんの成功や幸せにつながるわけです。

マーケターは、お客さん以上にお客さんのことを理解し、お客さんの幸せを願い、そのために行動する人です。マーケターの存在意義は 「お客さんの成功や幸せの実現」なのです。


まとめ


今回は、マーケティングの原体験と、マーケターの存在意義についてでした。

最後にまとめです。

✓ マーケティングとは
  • マーケティングとは、お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般
  • 選ばれるために、① 顧客インサイトを見出す (深い顧客理解) 、② インサイトを満たすソリューションの提供、③ 実際にお客さんに喜んでもらい感謝される
  • マーケターの存在意義は 「お客さんの成功や幸せの実現」 。お客さんを理解し、お客さんの幸せを願い、そのために行動する人


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。