#人生 #7つの習慣 #本

お金で億を稼ぐ人は、特別な才能を持っているのでしょうか。

答えは意外なものでした。彼ら・彼女らは 「普通のこと」 を、ただ圧倒的にやっているだけだったのです。

今回は、書籍『億までの人 億からの人 - ゴールドマン・サックス勤続 17 年の投資家が明かす 「兆人」 のマインド (田中渓) 』を読んで、内容の概要と、読んで考えさせられたことを書いています。

本書の概要

田中渓氏の『億までの人 億からの人 - ゴールドマン・サックス勤続 17 年の投資家が明かす 「兆人」 のマインド』は、富裕層の 「生態系」 を言語化した一冊です。

著者は 2007 年にゴールドマン・サックス証券に入社し、入社直後のリーマンショックでボーナスゼロ、大幅減給、在籍部署の 9 割人員削減という大変な経験をしました。しかしその後、17 年間で投資部門の日本共同統括にまで上り詰め、20 カ国以上で 300 人を超える億・兆単位の富裕層と協業してきた人物です。

この本が定義する 「億を超える人」 とは、年収 1 億円以上、または純資産 5 億円以上の人々を指します。

本書は具体的な投資術ではなく、富裕層マインドを学ぶ内容として位置づけられ、思考・哲学・お金の使い方・時間・習慣・人間関係の 6 つのテーマで富裕層の実態を明らかにします。

 「7 つの習慣」 との共通点

億以上の超富裕層の話を俯瞰すると、スティーブン・コヴィーの 「7 つの習慣」 を体現していることがわかります。

この発見は、私たちにとって希望になります。なぜなら、7 つの習慣は誰もが実践できる成功原則だからです。

では、具体的にどう当てはまるのか順番に見ていきましょう。

第一の習慣 「主体的である」 — 決断は自分で下す

富裕層の人がやっていることの共通点は、意思決定を他人に委ねないことです。

常に 「そこは自分が決めますから」 というスタンスを貫きます。その場で結論を出し、それは情報収集においても、最終判断は必ず自分で行います。

これは容易ではありません。自分で決めることには責任が伴い、誤った判断をすればダメージを負います。脳の構造上、判断という行為自体がストレスになり、命令されることの方がよほど楽なのです。

しかし富裕層は、その楽さを取らず、生殺与奪の権を他人に委ねないという覚悟を持ち、常に当事者意識を保ち続ける。主体性とは単に自分で選ぶことではなく、困難であっても自分の人生の舵を他人に渡さない生き方そのものなのです。

第二の習慣 「終わりを描くことから始める」 — ゴールと撤退ラインを事前に設計する

人は想像できないことは実現できない。想像できない人にもなれない──田中氏はこう語ります。

富裕層は、終わりから逆算して現在を設計します。投資においては、期間、利益と損失の金額をあらかじめ定める。どこをゴールに見据えるのか、どれだけの時間やリソースをかけるのか、そして撤退ラインを明確にします。

重要なのは、成功のシナリオだけでなく失敗のシナリオも描いている点です。

発生可能性と起こった時のインパクトの期待値を計算し、期待値という終わりを明確にすることで現在の行動を最適化します。これは第二の習慣の実践そのものです。

第三の習慣 「重要事項を優先する」 — 緊急ではないが重要なことへ投資する

本書によれば、富裕層が日常生活でこれだけは絶対に怠らないと決めている、3 つのことがあるそうです。

  • 人脈に関する情報を仕入れ、良い人脈をつくろうとする
  • 創作意欲を満たす情報をインプットする
  • 体をメンテナンスする

これらはすべて 「緊急ではないが重要なこと」 という、スティーブン・コヴィーが第二領域と呼んだ最重要カテゴリーです。

著者の田中氏は毎朝 3:45 に起床し、ランニング 25km、自転車 60km、水泳 7km のいずれかを行います。これらは緊急ではありませんが、長期的な健康と判断力を支える最重要事項です。朝は誰にも邪魔されず、頭も冴えている貴重な時間帯──ここに重要な活動を配置しているわけです。

また飲み会は一次会で帰るという線引きは、人間関係 (重要だが緊急ではない) と無駄な時間消費 (重要でも緊急でもない) を区別するための実践例です。

長期の資産運用も、すぐに今日明日の利益は生むわけではありませんが、10 年後、20 年後の人生を支える資産をつくります。富裕層は緊急度と重要度のマトリクスに沿って、緊急ではないが重要なことに優先順位を置いています。

第四の習慣 「Win-Win を考える」 — 相手のメリットを真剣に考え抜く

富裕層の人たちに見られる共通点の中に、情報提供や人の紹介を惜しない、相手の立場が理解できているというものがあります。

注目したいのは、人脈構築において自分が相手に何を与えられるかを真剣に考える点です。例えば初めての相手と会う前に、相手のことをしっかりと理解し、自分が何か相手のためにできることを探す行為。相手にとって価値ある存在になることを事前に行っています。

事前準備、相手のメリット、お礼はセットという考え方も、関係性の中で常に相手にもメリットがある状態をつくろうとする、いわば仕組み化です。たとえ短期的には自分の利益にならなくても、長期的には信頼貯金となり、人脈の好循環を生み出すことでしょう。

また、投資においても、お金を循環させることで誰かにチャンスを与える、社会への還元を目的とした投資という視点を持ちます。狭い範囲での Win-Win を超えた、社会全体での Win を考えることの実践です。

第五の習慣 「理解してから理解される」 — 徹底的なリサーチと共感の表明

人脈構築には、相手をよく知ろうとし、調べ尽くし、また相手に共感できているところを伝えるというのがあります。これは第五の習慣である 「理解してから理解される」 の実践です。

富裕層は、相手と会う前に徹底的にリサーチします。相手の事業、財務状況、所属している企業の中期経営計画、最近のニュースリリース──。あらゆる情報を収集し、相手の文脈、課題、価値観を深く理解します。

ここで重要なのは、理解したことを共感できているところを伝えるという形でフィードバックすることです。これにより、相手はこの人は私のことを本当に理解してくれていると感じるでしょう。

田中氏は上司との顧客訪問の際、頼まれてもいないのに事前に先方の財務情報や中期経営計画をまとめて渡していたそうです。これは相手 (顧客) を深く理解していることを示し、同時に上司にもこの部下は仕事ができると理解してもらう行為です。

自分が理解されたければ、まず相手を理解する──。この順序を決して逆にしないのが富裕層です。

第六の習慣 「相乗効果を発揮する」 — 複利効果を最大化させる

仮に 1 日 1% 成長し、それを 1 年間続けると、1 年後には 1.01 の 365 乗で約 38 倍になります。逆に 1 日 1% サボると、0.99 の 365 乗で 0.03 にまで減ります。これが複利の力です。

第六の習慣である 「相乗効果を発揮する」 の数学的な証明とも言えます。1% の成長が雪だるまのように少しずつ膨らんでいき、1 年後には 38 倍になる。少しの変化や努力に時間軸がかけ算されることによって、想像を超える結果を生むというのが複利を伴った相乗効果です。

富裕層が理解しているのは、この原理が投資だけでなく、あらゆる領域に適用できるということです。習慣にも複利の力を働かせるという発想は、日々の小さな行動が時間とともに人生を後から大きく変える相乗効果を示します。

また 「お金 → 経験値 → 人脈 → お金」 という好循環も、各要素が独立して機能するのではなく、互いに増幅し合う関係にあります。このサイクルが回り始めると、相乗的に成長します。

富裕層は相乗効果を偶然に任せず、意図的に設計します。

第七の習慣 「刃を研ぐ」 — 戦略的に磨き続ける

スティーブン・コヴィーは、「肉体」 「精神」 「知性」 「社会・情緒」 の 4 つの側面をバランスよく磨くことを説きました。富裕層はこれを体系的に実践しています。

富裕層が怠らない、① 人脈 (社会・情緒)、② 創作意欲 (精神)、③ 体のメンテナンス (肉体) に加え、④ 日々の学習 (知性) の継続。これらはいずれも第七の習慣である 「刃を研ぐ」 ということです。

特筆したいのは、刃を研ぐ時間を捻出するために、意図的に組み込むことです。例えば田中氏は、英語学習については、タクシー移動中にオンライン英会話、40 時間レース中もイヤホンで英語を聴くなど、隙間時間を自己投資に変換しています。ながら時間の活用は、刃を研ぐ時間を最大化します。

7 つの習慣はかけ算で作用する

重要なのは、億を超えるような富裕層は 7 つの習慣を個別に実践しているのではなく、統合的に実践しているということです。

統合的実践がもたらす効果

例えば、仕事で信頼をつくるプロセスを 7 つの習慣に当てはめてみましょう。

  1. 主体的である: 上司から資料作成を頼まれたとき、全てを指示待ちの姿勢ではなく自分で判断してスピーディに動く
  2. 終わりを描く: 完成イメージとデッドラインという終わりから逆算し、完成度合いの 1 割・3 割・5 割で段階で上司に共有する
  3. 重要事項の優先: 期限のギリギリになって手を付けるという 「緊急かつ重要」 な作業とはせず、早めに始めるという 「重要だが緊急ではない」 タスクにする
  4. Win-Win: 上司が納得でき安心できるようにし (Win) 、自分も上司からの信頼を得る (Win) 
  5. 理解してから理解される: 上司の意図や期待値をまず理解し、それを上回る成果を挙げることで自分の立場や能力を理解してもらう
  6. 相乗効果: 早めの共有で後からの大きな軌道修正を起こさないようにし、一発勝負より格段に速く仕上げる
  7. 刃を研ぐ: このプロセス自体が、スピード感と品質を両立させる仕事術として自分のスキルを磨いている

このように 7 つの習慣は一つひとつが独立して存在するのではなく、有機的につながります。

スティーブン・コヴィーは、7 つの習慣の最初の 3 つの習慣で 「私的成功」 を、次の 3 つで 「公的成功」 を、そして第 7 の習慣で 「再新再生」 と区分しました。

  • 私的成功 (第 1 ~ 3 の習慣) では、主体的に、ゴールを描き、重要事項を優先することで、自分自身をコントロールできるようになる
  • 公的成功 (第 4 ~ 6 の習慣) においては、Win-Win を考え、理解にもとづいた関係を築き、相乗効果を生み出すことで、他者との協働で成果を最大化する
  • 再新再生 (第 7 の習慣) では、常に刃を研ぐことで、私的成功と公的成功を持続可能にし、さらに高いレベルへと成長し続ける

こうした統合的実践が生み出す効果こそが、普通のことを圧倒的にやるという富裕層の本質です。

億超富裕層とは 「7 つの習慣」 の体現者

億超えの富裕層とは、7 つの習慣を極めて高いレベルで、かつ統合的に実践している人たちです。

主体的に決断し、終わりから逆算し、重要事項を優先し、Win-Win を考え、理解してから理解され、相乗効果を生み出し、常に刃を研ぎ続ける──。7 つが有機的につながり、時間軸で複利的に作用することで、1 日 1% の成長が 1 年後に 38 倍になり、10 年後、20 年後には想像を超える差となって現れます。

7 つの習慣を統合的に実践し続けた結果と理解すれば、それは誰にでも開かれた道になります。

億を超える人になるための答えは、実はすでに私たちの手の中にあります。それは 7 つの習慣という、誰もが知っているが、真に実践している人は少ない成功原則。その原則を、圧倒的な質と量で、統合的に、複利的に実践し続けるのです。

まとめ

著書『億までの人 億からの人 - ゴールドマン・サックス勤続 17 年の投資家が明かす 「兆人」 のマインド (田中渓) 』から読み解く、「億を超える富裕層」 と 「7 つの習慣」 の関係を考えました。

学びのポイントをまとめておきます。

  • 成功者は特別な才能ではなく、普通のことを圧倒的な質と量で実践している
  • ① 主体性、② 終わりからの逆算、③ 重要事項の優先、④ Win-Win の実践、⑤ 理解してから理解される、⑥ 相乗効果の発揮、⑦ 刃を研ぐという、誰もができる原則を徹底することが成功への道
  • 7 つの習慣を個別ではなく統合的に実践し、1 日 1% の成長が 1 年後に 38 倍になるように、小さな行動の積み重ねが想像を超える差を生む