投稿日 2024/10/24

UAV マーケティング。自社の強み × 顧客インサイトで、お客さんに選ばれ続ける理由をつくる方法

#マーケティング #顧客価値 #本

お客さんから選ばれ続ける理由を明確に説明できるでしょうか?

技術や品質には自信があるのに、なぜか売れ行きが鈍いーー。顧客ニーズがつかめず、次の一手が見出せないーー。そんなふうに感じていませんか?

こうした状況に新たな視点を提供するのが 「UAV - あなたが知らない あなたの会社だけの強み (彌野泰弘) 」 という本です。


この本が提唱する 「ユニーク・アトラクティブ・バリュー (UAV 独自性のある魅力的な価値) 」 という概念は、ビジネスの持続的な成長を実現するためのカギとなります。

自社の強みと顧客インサイトをかけ合わせ、独自の魅力的な価値を見出す。そんなアプローチで、あなたの会社の隠れた強みを発見してみませんか?

本書の概要



こちらの本は、自社の強みを最大限に活かし、お客さんに選ばれ続けるブランドになるためのマーケティングと実践方法を探るものです。

著者の彌野泰弘 (やの やすひろ) 氏は、企業が持続的な成長を遂げるためには独自の魅力を持った価値、すなわち 「ユニーク・アトラクティブ・バリュー (UAV) 」 を提唱している方です。UAV を効果的にマーケティング活動に反映することが重要であると説いています。

本書は、自社の強みと顧客インサイトを結びつけ、持続的な成長を実現するための具体的な考え方と方法を紹介しています。

ブランディング


本書でのブランディングの考え方は、ブランディングとは自社の強みに立脚した、お客さんが魅力的に感じる価値への認識をお客さんの頭の中に蓄積し、強化し続けていくことです。

お客さんに選ばれ続ける理由こそが、ブランド戦略の核となります。

ブランディングの本質を捉えるには、「顧客は誰か」 「顧客のインサイトは何か」 「顧客に選ばれ続けるために必要な要件は何か」 という3つの観点からブランド戦略を策定していくことが大切です。

UAV


本のタイトルでもある UAV とは、ユニーク・アトラクティブ・バリュー (Unique Attractive Value) の略です。

独自性のある魅力的な価値

UAV を直訳すると 「独自の魅力を持った価値」 となります。UAV は、お客さんが 「自社のブランドを選び続けたくなる理由」 であり、最強ブランドをつくるためのカギを握るものです。

お客さんに選ばれ続けるとは、お客さんが数多あるいろいろなブランドの中から自社ブランドのことを 「これを買いたい」 という状況になっていることです。UAV があることで、お客さんから選ばれ続けるようになるので、持続的な売上成長につながります。

UAV マーケティング

UAV マーケティングのプロセスは大きく2つに分けて進めます。

  1. 自社にとっての UAV を 「開発するプロセス」 
  2. 開発した UAV を商品・サービスに取り込み、販路、価格、広告・販促といった諸活動に反映していく 「マーケティングのプロセス」 


マーケティングの 4P で見れば、UAV を開発するプロセスは Product 、「マーケティングのプロセス」 は Place, Price, Promotion の残りの3つの P となります。

開発とマーケティングをマーケティング 4P で一貫性を持ってつなげて推進していくことが、お客さんに選ばれ続けるブランドづくりになります。

今なぜ UAV マーケティングが求められているのか

UAV への背景として 「事業会社での課題感」 を知っておくと、UAV というお客さんから選ばれる独自価値をつくる重要性と必要性への理解が深まります。

事業会社での課題感とは、たとえば次のようなものです。

  • 高い技術力を売りに商品を開発しビジネスを成長させてきたが、近ごろ成長が鈍化してきている。次の一手を考えたいが、顧客が何を求めているのかが分からない

  • 社内における意思決定が、影響力の大きい特定の個人 (例: 創業者や経営陣) の属人的な感覚に依存。商品開発や広告宣伝の企画が今の顧客ニーズに即していないので、商品のヒット率が下がっている

  • 販路拡大に向けたノウハウと自信はあるが、顧客インサイトを捉え、お客さんの需要を生み出す商品をつくるノウハウがない

  • デジタルマーケティングによって需要が顕在化したお客さんの獲得はうまくいっているが、さらなる成長のために新たな需要自体を喚起していきたい。しかし、やり方がわからない


これらの悩みにの奥にある共通点は、「自社がお客さんから選ばれ続ける価値」 という UAV に気づいていなかったり、社内での UAV への共通認識がないために起こる機会損失です。

UAV 開発

では、UAV をつくるためにはどうすればいいかを見ていきましょう。

UAV を開発するために必要な要件は次の2つです。

  • 自社の強みに立脚している
  • 顧客インサイトに応えている


2つの要件をかけ合わせることで、競合にマネされにくい構造的な優位性を持った UAV を開発できす。

UAV 開発は、主に次の3つのステップに沿って進めていきます。

1. 強みの発掘
  • 自社の強みとなりえる候補を定め、強みの発掘は 「自社にとっての当たり前」 に目を向ける
  • 社内の関係者で意見を出し合い、自社の強みになりえる候補を洗い出し仮説をつくる

2. 顧客インサイトを理解する
  • 自社の商品・サービスが必然性をもって 「選ばれ続ける理由」 をお客さんのインサイトから徹底的に検討する
  • また、ステップ 1 で候補に挙げた強みが、なぜお客さんから支持される理由となっているのか、インタビューなどの定性調査をもとに顧客インサイトを理解する

3. UAV を決める
  • 売上最大化の確度が最も高い UAV を特定する
  • 強みと顧客インサイトをかけ合わせ、構造的優位性を持つ UAV を絞り込む
  • 複数の候補がある場合は、その中から目標達成に向けて最も有効性や確度が高いものは何かをターゲット顧客に定量調査をし、効果が最も高く見込める UAV を決める


まとめ


今回は、書籍 「UAV - あなたが知らない あなたの会社だけの強み (彌野泰弘) 」 をご紹介し、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • UAV (Unique Attractive Value) は独自の魅力を持った価値。お客さんが自社ブランドを選び続ける理由となるもの

  • UAV マーケティングは、① UAV の開発プロセスと、② UAV を商品やサービスに取り込み、販路、価格、広告・販促などのマーケティング活動に反映するプロセス

  • UAV 開発の3ステップは、 ① 自社の強みを発掘する ② 顧客インサイトを理解する ③ 売上最大化の確度が最も高い UAV とするために、強みと顧客インサイトを統合し効果を見込める UAV を絞り込む

この本は、ブランド戦略を立案するマーケティング担当者、商品開発担当者だけではなく、管理職や経営層の方にも参考になります。

よかったらぜひ読んでみてください!



マーケティングレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。

ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから登録して、ぜひレターも読んでみてください!

最新記事

Podcast

多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信中。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。