#生き方 #運 #本
「なんで自分ばかりこんな目に遭うんだ」 ―― ついつい、そう思ってしまうことはないでしょうか。
努力しても報われず、周りばかりうまくいっているように見える。そんなとき、読んでほしい一冊が『運転者 未来を変える過去からの使者 (喜多川泰) 』です。
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今回は、この本の概要紹介と、読んで考えさせられたことを掘り下げます。
本書の概要
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本書の主人公・岡田修一は、生命保険の営業マンです。
保険会社で歩合制で働く修一は、なかなか成果が上がらず、ある日、20 件分の保険契約が一斉に解約されてしまいます。
妻が楽しみにしていた海外旅行はキャンセル、もともと娘は不登校で家族仲はさらにぎくしゃくし、実家の母からは 「帰ってきてほしい」 との連絡。八方塞がりの状況でした。
「自分ほど運の悪い人間はいない」 と思う修一の前に、ある日不思議なタクシーが現れます。運転手の名前は御任瀬卓志 (おまかせたくし) 。修一のことをなぜかよく知っており、「あなたの運を変える場所へ連れて行く」 と言います。
タクシーのメーターには 「69,820」 と表示されていますが、走るほど数字が減っていく不思議なタクシーでした。
運転手との対話を通じて、修一は 「運とは何か」 「どうやって運をつかむのか」 など、運の法則、そして人生と努力の本質を学んでいきます。
小説の物語が進むにつれ、修一は自分のまわりで起きた出来事に一喜一憂するのではなく、「どう意味づけて生き直すか」 に意識を向けるようになります。そして家族・仕事・自分自身への態度を、少しずつ変えていくのです。
『運転者』に学ぶ人生の転機をつかむ原則
この小説から学べるのは、運に翻弄されるのではなく、運を自分で 「転じる」 という方法です。
ではここからは、本書から学べる運を活かすための 3 つの原則を見ていきましょう。
運は 「貯めて」 「使う」 もの
多くの人は 「運がいい / 悪い」 という二元論で運のことを語るでしょう。
運の貯蓄と消費
「運はいいか悪いで表現するものじゃない。貯める、使うと表現するもの」 というタクシー運転手の言葉は、一見すると精神論のように聞こえるかもしれません。しかし本書が提示する運の本質は、運の 「貯蓄と消費」 のメカニズムです。
報われない努力は 「運の先行投資」 と捉えることができます。
このように運をみなすと、努力をしてすぐに結果が出る人は、過去に貯めた運を小出しに使っているだけで、特別に運がいいわけではないということになります。逆に、同じだけ努力しても結果が出ない人は、その分の 「運を貯めている」 ということです。
これはビジネスの世界でも同じです。マーケティングには、すぐに成果が出る施策もあれば、長期的な投資が必要なブランディング活動もあります。短期的な成果が見えないからといってそこで諦めるのではなく、それが 「運を貯めている期間」 だと捉えられれば、継続する力が生まれます。
運を貯める方法
本書は、運を大きく貯める方法も提示します。それは 「誰かの幸せのために自分の時間を使う」 ことです。
ここで重要なのは、そもそもの運の定義です。
運とは 「自分が誰かにしてあげたこと」 と 「自分がしてもらったこと」 の差分であるとします。算数の数式で表せば、引き算で 「運 = 自分が誰かにしてあげたこと - 自分がしてもらったこと」 となります。
これは見返りを求めない利他的な行動の勧めではありません。ギブ & テイクの差分こそが資産になるという、実利的な考え方です。「徳を積む」 という昔からの道徳観にも通じます。
マーケティングで言えば、「顧客に提供する価値」 と 「得られる対価」 の差を意図的に生み出し続けることで、長期的なお客さんからの信頼、ブランドという無形資産が蓄積されていく構造と同じです。
ここから得られる実践的なポイントは、次のようになります。
- 短期的な損得で運がいい / 悪いと捉えない。すぐ報酬が得られる行動ばかりに偏ると、運は減る一方
- 運を貯めるギブの行動を習慣にする。例えば、誰かのために時間を使う、丁寧に対応する、助ける、紹介する、育てるなど
「上機嫌」 は人生のアンテナ感度を上げる
この物語のキーワードのひとつは 「上機嫌」 です。
本書が 「上機嫌」 をここまで強調するのは、精神論として笑顔でいようと言いたいからではありません。上機嫌は、世界の捉え方そのものを変えます。
因果関係を逆転させる発想
普通なら 「良いことがあったから上機嫌になる」 と考えることでしょう。しかし本書は、この因果関係を逆で捉えます。
上機嫌でいるから、良いことが起こる場所や機会に気づける――。これが本書の教える、「上機嫌によって人生のアンテナ感度を上げる」 という考え方です。
小説の物語では、チャンスを活かせるかどうかは自分のアンテナ感度次第だとタクシー運転手は語ります。そしてアンテナの感度は、上機嫌のときに最大になると。
人はネガティブな感情の状態にあるとき、注意の行き先は問題やリスクに集中してしまいます。結果として、チャンスが視野から消えるのです。逆に上機嫌な状態では、認知の幅が広がり、新しい可能性に気づきやすくなります。
上機嫌でいる方法
では、どうやったら上機嫌でいられるのか。この問いに対して、物語では運転手は 「損得から離れること」 を修一に勧めます。
自分が得するか損するかという考え方から離れ、「楽しそう」 「おもしろそう」 などの純粋な好奇心で物事を見てみるというわけです。
たとえ自分がすぐにおもしろいと思えないことでも、それをおもしろいと思っている人がいるなら、「何が楽しいんだろう」 と興味を持つことはできます。この姿勢が、上機嫌への扉を開きます。
修一が辿り着いたひとつの境地も示唆に富みます。「上機嫌でいるというのは、楽しいことを期待するのではなく、起こることを楽しむと決めるということ」 。上機嫌でいることは誰にでも、今すぐできることなのです。
本当のプラス思考とは
本書が言う 「本当のプラス思考」 は、良い未来をイメージすれば叶うという引き寄せ的なものとは違います。
物語の中では、プラスとマイナスの判定はその瞬間にはできない、だから起こった出来事を人生に必要な経験へ変えていく姿勢こそがプラス思考だと語られます。「これから起こること」 ではなく 「起こったこと」 に対するプラス思考です。
「自分に都合のいいことをイメージしていれば、それが起こるなんて、プラス思考じゃない」 と運転手は言います。本当のプラス思考とは、「どんなことが起こっても、それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと思えること」 。起こったことに対してプラスに捉える姿勢です。
自分に不都合な出来事すらも 「これは人生の伏線だ」 と考える強さが、運を転じさせる原動力になります。
起きた出来事の意味は、自分で決められる――。そう考えると、どんな困難も次へ進む糧に変えることができるのです。
3 つの原則が示す 「運転者」 としての生き方
ここまで見てきた 3 つの原則は別々の教えではなく、一つの統合された人生戦略を形作っています。
- 与えることで運を貯める行動を積み重ねる
- 上機嫌というアンテナでチャンスに気づく
- 起こった出来事に意味を与えるプラス思考で前進していく
この姿勢と行動により、自分の人生という物語の 「運転者」 になることができます。受け身で起こった出来事や運に翻弄されるのではなく、能動的に運を転じていく――。
本書のタイトル 「運転者」 には、そんな深い意味が込められているのです。
まとめ
小説『運転者 未来を変える過去からの使者 (喜多川泰) 』を取り上げ、考えさせられたことを書きました。
学びのポイントをまとめておきます。
- 運は 「良い・悪い」 ではなく 「貯める・使う」 もの。報われない努力は運の先行投資と捉えることで、継続する原動力になる
- 運を大きく貯める方法は、誰かの幸せのために自分の時間を使うこと。ギブとテイクの差分が運となり、蓄積していくことによりやがては人生の資産になる
- 上機嫌は世界の捉え方を変える。上機嫌になることで心が変わる。チャンスは上機嫌な人にしか見えない。損得から離れて好奇心を持つことが、上機嫌への入口
- 本当のプラス思考とは、起こった出来事に対して 「人生に必要な経験だ」 と意味づけできる力
- 運を貯め、上機嫌でチャンスに気づき、起きた出来事をプラスに変える。この 3 つの循環が、自分の人生の 「運転者」 になる道
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