2014/12/31

書評「介護退職」

楡周平の小説「介護退職」(祥伝社文庫)が考えさせられる内容でした。



■小説のストーリー設定

ストーリーを引用すると、
三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。
そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中に骨折したと電話が入る。その時は、まさかそれが、奈落への号砲とは知る由もなかった……。
平穏な日々を崩壊させる〝今そこにある危機〟を、真正面から突きつける問題作、遂に文庫化!

秋田でひとり暮らしをしている主人公の母親は76才。ややネタバレですが、以下のような連鎖で主人公や家族は経済的にも精神的にも追いつめられていきます。
  • 母が転倒により足を骨折
  • 手術/入院→主人公宅でのリハビリ中に痴呆症が顕在化
  • 義母を介護する妻が過労とストレスにより、くも膜下出血で手術/入院
  • 主人公は母の介護を続けるも、次第に仕事に支障をきたす→プロジェクト責任者を外される→部署異動となりやがては退職を考えるように

遠い田舎で夫に先立たれ、ひとり暮らしを続ける母。それに対して漠然と将来に不安を覚える主人公。毎晩、母親にその日の調子を尋ねるために電話をすることが日課になるも、それ以上のことはやろうと思っても具体的には特に何もしていない状況です。そんな中、親の介護問題がある日突然に発生するというストーリー設定です。
人間は必ず老いる。いずれ母も介護の手を必要とする時がくるだろうとは朧(おぼろ)げに考えてはいたが、それが現実となると、何一つとして準備が出来ていないことに私は呆然となった。

■介護と育児の相違点と共通点

自分の感覚ですが、多くの人に同じことが当てはまるのではないでしょうか。

自分の親 / 義理の親の介護をするために、それまでより仕事や自分のことに割ける時間が絶対的に減ります。この小説を読んでいて思ったのは、同じような状況が多くの人で普通に起こるであろうこと。

もう1つ思うのは、介護問題が発生するのは年齢の高い人から発生するであろうこと。実際にこの小説でも、会社の社運を担う大プロジェクトの責任者(主人公)の身に起こり、プロジェクト管理ができなくなります。

家族のケアによる時短勤務で代表的なのは、妊娠や出産後の育児があります。

介護と違うのは、妊娠/育児による時短は、発生するまでにある程度の時間があるため自分もまわりも準備ができます。また時短勤務者は20-30代が主なので、比較的若手〜中堅社員になるでしょう。一方の介護では、会社の規模や社員平均年齢にもよりますが、部長や役員クラスで起こり、自分や周囲への影響が異なります。

肌感覚として、妊娠/育児による時短勤務に比べ、介護によるそれへの理解や経験は少ないのではないでしょうか。

子どもと親のケアというのは、自分の家族と言えども正反対なことに見えます。しかし、見方を変えると、本質的には同じことです。小説内のある医者の言葉です。
「人間はある年齢に達すると、その時点を堺に、今まで歩んできた道を逆に辿り始めるのではないかと思うことがあります。目も見えない、話もできない、親の世話なくしては生きることもできない乳児から、徐々に知恵を付け、大人へと成長する。老いると今度は知力や生活能力が低下し始め、誰かの助けを受けながら人生の終わりを迎えるものなんだとね」




2014/12/30

2014年 当ブログへのアクセス状況まとめ

2014年の当ブログへのアクセス状況のまとめです。データソースは Google Analytics 。データ期間は2014年1月1日〜12月30日です。




■2014年アクセス記事のトップ10

()内はポストした年月です。
  1. Whyからはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア
    (2012年12月)

  2. ぼんやり頭にさようなら。脳が冴える日常生活のちょっとした工夫
    (2012年10月)

  3. なぜ「10分1000円」のQBハウスに人は並ぶのか
    (2012年2月)

  4. みんな大好き!コメダ珈琲店のビジネスモデル
    (2012年8月)

  5. 自分を変えた「時間配分の見直し」と「片づけ」の方法
    (2012年2月)

  6. 赤ちゃんの服のうんち汚れは太陽が落としてくれる
    (2014年3月)

  7. KOMTRAX:コマツ建機の美しいビジネスモデル
    (2012年10月)

  8. 「絶対赤字」の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略
    (2012年6月)

  9. 親子で楽しむ「子どもの才能をグングン引き出す脳の鍛え方/育て方」
    (2013年5月)

  10. Googleのビジネスモデルとイノベーティブであり続ける魅力
    (2013年3月)

10個中、2012年のエントリーが7個でした。今年2014年のものは1つ、残り2つは2013年です。ポジティブに捉えると、2年以上前のエントリーでも検索経由を中心にアクセスしてもらえています。一方で、特に12年の頃と今をページビューという指標で比べると、当時のほうが良かったようです。


■検索からの流入が増加

その検索からの流入ですが、1年間のトータルページビューのうち、2014年は 75.6% が検索経由でした。去年の2013年は 61.6% と 15p の増加でした。


■2014年はスマホシフトの1年

もう1つ、興味深かったのは、ページビューにおけるデバイス構成比でした。2014年の1年で前年同期間と比べると、パソコンが減り、スマホが 10p ほど多くなっています。()内は2013年の数値です。
  • パソコン: 49% (61%)
  • スマホ: 45% (34%)
  • タブレット: 6% (5%)
タブレットは横ばいというのも個人的には発見でした。スマホほどではないにしろ、タブレットも伸びていると思っていたので。


2014/12/28

Dell Chromebook 11を3週間使ってみたレビュー

少し前に、Chormebookを買いました。メインで使っているパソコンはMacBook Air 13で、セカンドPCとしての位置づけです。




買ったのはデルのクロームブックです。Dell Chromebook 11 ノートブックPC (Cel2955U/2GB/16GB/11.6インチ/ChromeOS) Chromebook11 15Q31




3週間くらい使ってみての所感を書いています。


全体として:すごく簡単に言ってしまうと、Chromebookでできること=Chromeブラウザでできること、となります。厳密には違うのですが、おおよその理解としてそう捉えられるデバイスです。WindowsやMacでの利用範囲がChromeブラウザで可能なことであれば、Chromebookはとても手軽に使えるパソコンです。

処理速度:ウェブページの読み込みなどの処理速度も、基本的には問題ないと感じます。YouTubeの再生なども問題ないです。ただ一度、Google Hangoutでビデオ通話をしながら、同時に複数タブでウェブページを表示させたところ、普段より読み込み時間がかかったことがありました。ただ、これはかなり特殊なケースだと思うので、全体として大きな不満はないです。ちなみにRAM容量は2GBです。

キーボード:日本語キー配列なので、特に違和感なく使えます。英数字とかな文字の切り替えも問題なしです。キーを押した時の感触も違和感はないです。1点、使いづらい点はテキストの「範囲選択」。Ctl + Shift + 矢印 でさっとテキスト選択→コピーとかしたいのですが、Dell機では選択範囲が狭いです。日本語だと一文字だけしか移動しない。今のところ一番ネックなのがこれ。ChromebookというよりDellの仕様かと思いますが。

タッチパッド(ポインタ移動速度):キーボードの下にタッチパッドがあります。ポインタの移動やスクロールも、慣れればマウスがなくてもタッチパッドのみでやります。個人的にはマウスを使わないので、キーボードとともにタッチパッドの使用感は結構重要なんですよね。Dellのタッチパッドについては、MacBook Airに比べると使用感が劣ります。タッチパッドの速度を最大にしても、Macよりも遅い。感覚としてMacの半分くらいのスピード感です。

タッチパッド(画面スクロール):これは解決済なのですが、デフォルト設定で「2本指スクロール」の方向が、Macやスマホ等のタッチパネルと逆だったのが使いづらかったです。スマホだと画面の下を見るためにスクロールする場合は指を移動させる方向は上です。それがDellのデフォルトだと下に移動するのに下方向でした。タッチパッド設定に「Australian scrolling」があり、これに変更するとスマホやMacと同じ方向になりました。

バッテリー:スペック説明にはバッテリー寿命は10時間とあります。ちゃんと測ったわけではありませんが、バッテリーには8時間くらいは持つし、不満はありません。強いて言えば、バッテリアダプタがでかいこと。コードも太いです。

ファイルのやりとり:写真などのファイルをウェブ上からダウンロードすると、ダウンロードフォルダに保存されます。このフォルダはローカル。HDD容量は16GBなので、一時的な保管フォルダとして使い、基本的にはGoogle Drive内に保存する使い方です。感覚としてはローカルにドライブフォルダがあるように見えますが、実際はダウンロードフォルダ→ドライブ内に移動すると、ローカル→クラウド上にアップロードされドライブ内に保存できます。細かい点ですが、ドライブにアップすると、ファイルの更新日時がアップロード時刻になってしまいます。


ざっとこんなところで、3万円という価格に対して、コストパフォーマンスは満足できています。ユーザーエクスペリエンスとしておもしろいのは、Chromebookとは99%のクラウドデバイスということ。

ローカルフォルダもあるので(上記ダウンロードフォルダ)、100%とはしませんでしたが、ほぼクラウドのみで完結するパソコンです。




2014/12/13

異なる部門間プロジェクトをリードするために

現在所属している会社で、求められることの一つに「クロスファンクションリード」があります。

クロスファンクションという所属組織や部門間を超えたプロジェクトにおいて、いかにメンバーを巻き込みリードしていくか。今年1年を振り返った時に、クロスファンクションでの仕事がテーマの1つでした。

日本オフィスだけではなく、専門性や文化も異なる他国メンバーとのやりとりからは多くを学ぶことができたと思っています。今回のエントリーでは、クロスファンクションをリードするために必要なことを書いています。




1. 相手のことを理解する。話を聞く

心がけていたのが、まずは相手のことを理解することから始めることでした。同じ日本人同士でも営業の人か、プロダクト担当なのか、それとも法務なのかによって、立ち位置が変わり、それにより1つのイシューへの見方も違ってきます。

他国メンバーになるとさらに考え方/見方が多様化します。自分が当然だと思うこと、常識になっていることが、必ずしも彼らにはそうではない。思い込みによって進めてしまうと、齟齬が必ずと言っていいほど出てきました。

とにかくまずは相手の話を聞く。こちらの意図や方針と対立することでも、聞き続けることが大切だと思います。あとは前向きな姿勢を崩さずに。相手を理解しようとする姿勢で臨みます。

2. 全てのことに Yes はできない

話を聞くことと、相手の要望の全てに応えることは別ものです。

そのプロジェクトに関わるメンバーが多岐に渡るほど、相反する意見や考え方がでてきます。リードする立場の人は、最終的には自分で決断することになります。

その時に、あらゆることに Yes と言うことはできないという認識が大切です。相手を理解しているので希望に応えたくなりますが、プロジェクトの目的、全体最適を考えて No と言うべきことには No を言う。

クロスファンクションリードをしていくためには、いかに No と言うか、どうやって No を説明するかも大事な要素です。

3. Do the right things. Again, again, and again...

今の会社のカルチャーで良いと思うのは Do the right things (正しいことをやる)ということを、普通にメンバーが口にするような土壌があることです。

言葉にすると当たり前ですが、それをちゃんと実践できているかを、自分に問いかけたり言葉に出すことで振り返ることができます。

異なる部門間でのプロジェクトを進めていくにあたっても「正しいことをやる」という意識が大事です。自分が正しいと思うからこそそれをやるし、相手にも伝えていきます。

もう1つ思うのは、相手に伝えるにあたって、同じことを何度も言い続けることでようやく相手にわかってもらえるということです。

自分にとって正しいと思うことは、自分自身には結構当たり前だったりするので、何度も言わなくても相手にも伝わるだろうとついつい思い込んでしまいます。あまり繰り返して言わなくなるのですが、ここが落とし穴。大事なことなのに1回しか言わないことで十分に伝わらなかったりします。

しつこいくらいに同じことを何度も言うことが重要なのです。

正しいと思うことを何度でも繰り返しやるし、言い続けること。感覚として、1回言えばわかるようなことでも3回くらい言い、3回くらい言わないと伝わらなさそうなことは、5回とか10回でも同じことを言い続けるくらいで、ようやくです。


2014/11/30

アイレップが動画広告の検索行動への効果検証調査を提供開始

インターネット広告代理店のアイレップが、動画広告の効果検証サービスをリリースしました(14年11月14日 β版)。特徴として、動画広告がユーザーの検索行動にどう影響したかが測定できることです。
アイレップ、動画広告の新しい効果検証方法のβ版を開発、提供開始へ ―動画広告接触ユーザーの検索行動における変化を観測-|株式会社アイレップ
リリースPDF




実際に動画広告を見たユーザーの検索しているキーワードをログベースで抽出します。ユーザーが自分は何を検索したかをはっきりと覚えていなくても、どんな検索行動をとったかを見ることができます。

この手の手法で大切なのは、効果があるかどうかを何と何で比較するかです。

そもそも分析とは比較をすることです。例えば、自分の身長を比較する場合には、同年代の同じ性別の人たちと比較する方法と、昔の自分の身長と比較する方法があります。

後者の方法で比較した場合、男子中学生であれば1年前と比較して10センチくらい身長が伸びるケースもあるのではないでしょうか。

話を動画広告の効果検証に戻すと、アイレップの提供するサービスの分析手法は、同じユーザーが動画広告を見る前と後で検索ワードがどう変わったかを比較します。


 アイレップより引用


同一ユーザーでの広告接触前後で比較する方法には、分析結果を見るに当たって、1つ気をつけないといけない点があります。

広告実施期間が、世の中のニーズが高まるタイミングと同じである場合、同一ユーザーの前後比較で検索行動が増えたとしても、それは本当に広告による効果なのか、単に世の中のタイミングで増えただけなのかがわからないことです。

例としては、クリスマス商戦に向けて12月から広告を出すケース。その広告を見る前の11月時点と、広告接触後のクリスマス直前では検索が増えると思いますが、穿った見方をすれば広告を出さずとも、クリスマスが近づいてくれば自然と検索行動は増加するでしょう。だから、検索への影響として純粋に広告部分の効果がどの程度なのかがわからないのです。

通常、広告出稿をするのは、その商品やサービスにニーズに併せて実施するものです。アイレップの同一ユーザーの広告背色前後比較で、検索行動に有意な効果が出たとしても、それは本当に広告の効果なのかはこの方法ではわからないです。

さっきの身長の例で言うと、例えば身長を伸ばすためにある薬を投与したとします(仮の話)。1年前と今で比較して身長が伸びたとしても、それは本当にその薬の効果なのか、薬を飲まなくても成長期だから伸びただけなのかは、本人だけの比較ではわからないという話です。

理想としてどういう比較方法がいいかと言うと、薬を投与する集団と、偽薬を投与する集団を、1年経過後に身長を比較するやり方です。偽薬グループには、本人には身長が伸びる薬であると通知するが実は何の効果もないニセの薬を飲んでもらいます。

偽薬の集団でもある程度の身長は伸びますが、本物の薬を飲んだ人たちがそれ以上の伸びを見せた場合、身長差に統計的に有意な違いが見られれば、2つの集団の違いは薬の投与だけなので、薬の効果があったと言うことができます。

これを動画広告接触による検索行動の効果を見る手法に当てはめると、ユーザーを2つのグループに分け、グループAには広告を見せる、グループBには偽の広告を見せます。

なお、グループBで重要なのは、本来はグループAと同様にその広告を見る人たちなのを、あえて偽広告に差し替えることです。グループBを単に広告を見なかった人を集めてくると、グループAとBの集団の性質が変わってしまうので、AとBの比較が正確にできないためです。

身長を伸ばす薬の例で言うと、グループBに偽薬をちゃんと飲ませる必要があるのと同じです。

動画広告を見ることで、ユーザーの検索行動をログベースで見るという手法自体は興味深いものです。先に書いたように、本人が検索をしたと記憶に残らないもの検索行動も対象にできます。

検索行動の内容を見ることで、動画広告はどんな興味喚起を起こせたのか。興味だけではなく、さらにその商品/サービスの比較検討であったり、購入意向への影響も検索ワードを精緻に見ることでわかる期待があります。

これを同一ユーザーの広告接触前後ではなく、異なるユーザーグループの比較ができればさらにベターですね。


この方法を採用しようとしているのは、Google の Brand Lift です。参考までにプロモーション動画はこちら。

Google Brand Lift - Measuring Interest in Your Brand - YouTube



2014/11/16

Android のポッドキャストアプリ「Podcast Addict」が使いやすい

Podcast がわりと好きで、通勤や洗濯とかの家事の合間なんかによく使っています。好んで聴くのはニュース番組です。



もともとは、iPod や iPhone の頃から Podcast を使っていました。今はスマホは Android なのですが、Podcast を持ち運ぶために、iPod Touch を使っていて、スマホ2台持ち状態でした(厳密には iPod Touch は「スマホ」ではないのですが)。

Podcast = iOS という固定観念があったのですが、ふと思い立って調べてみると、Android アプリでも多数の Podcast アプリがあるようです。前々からスマホは Android 1つに集約したいと感じていたので、いいタイミングと思い、いくつか試してみることに。

ちなみに、iOS で使っていた Podcast アプリは Apple 純正の Podcasts ではなく、Instacast というアプリです。

特に使いやすかった UI は、2つで、①番組コンテンツ(エピソード)のダウンロードと再生がシンプルにできる、②番組ごとに再生速度が変えられる。

2つ目は Apple 純正 Podcast アプリにはない機能なので、Instacast にはあったので使っていました。

登録している番組には、BBC などの英語のニュースや、日本語でのニュース番組に分かれます。日本語コンテンツの場合は、1.5倍 or 2.0倍で聴きます。一方の英語コンテンツは、1.0倍の通常再生 or 1.5倍を番組ごとにを使い分けています。

番組ごとに再生速度が変えられない Apple 純正アプリの場合、番組を再生するたびに、その都度速度調整が必要になり、ユーザーエクスペリエンス(UX)としては面倒でした。

Android での Podcastアプリを探すにあたって、選択基準になったのは、iOS の Instacast と同等程度の UX かどうか。いくつか試した中で、落ち着いたのは Podcast Addict でした。

まずは広告が表示される無料版で試してみて、今は有料版を使っています(Podcast Addict - Donate)。価格は2.99ドルです。Google アンケート モニター アプリのアンケート回答でたまっていた Google Play クレジットを使いました。

2つの選定基準であった「①番組コンテンツ(エピソード)のダウンロードと再生がシンプルにできる」については、正直に言うと iOS の Instacast のほうが優れています。というのは、エピソードダウンロードの画面と Playlist の画面が分かれているためです。ここは1つにした UI がいいんですが。

2つ目の「②番組ごとに再生速度」については、Podcast Addict のほうが優れています。速度調整が0.1ポイント刻みにできるので、A という番組は1.8倍、番組 B は1.2倍、のような微妙な調整が可能です。

他にも Podcast Addict の設定は細かいところまでカスタマイズができます。例えば、ロックスクリーンで再生/停止操作、ステータスバーの通知内容(表示有無)、早送り/巻戻しボタンの秒数(1秒単位でできる)、ダウンロード数の設定(最も新しいコンテンツ3つにするなど)。


最後に、Podcast でよく効いている番組コンテンツをいくつかご紹介しておきます。
  • ザ・ボイス そこまで言うか!:月 - 木曜配信でその日のニュース7つについて、日替わりコメンテーターが解説。ニュースは政治や経済、国際関係が中心。メインテーター飯田アナの造詣も深い
  • 伊藤洋一の Round Up World Now!:金曜配信。その週のニュース解説。政治や経済、金融のニュースが多い
  • 辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!:土曜配信。その週のニュース解説。アナウンサーはこちらも飯田アナ
  • 週刊日経 Trendy: 雑誌「日経トレンディ」で紹介された話題のモノ/サービスを Podcast で解説
  • BBC World Service Global News:世界の政治を中心にした BBC のニュース配信。英語のリスニングのために使っています。配信は1日2回
  • バイリンガルニュース:ピックアップされたニュースについて、日本語と英語が組み合わさった会話で、ネイティブの自然な会話が聞けます。肩の力がいい感じで抜かれていて聴きやすいです。週1回配信


2014/11/09

そのリサーチクエスチョンはアクショナブルか

マーケティングリサーチの位置づけは、マーケティングの課題解決のための「手段」だと考えています。逆に言うと、マーケティングの課題解決や、マーケ上の意思決定とアクションにつながらないものは、マーケティングリサーチをやる意義を持てていないことになります。

次のような課題をマーケティングリサーチによって解決しようとする場合、それはリサーチを実施する価値が見い出せています。

消費者に自社商品をアピールするやり方としてはAとBの2種類があり、この段階ではどちらにどういう優位性があるかが明らかになっていないケース。これをリサーチにより明らかにすることで、AとBのどちらを選択し実行するかというマーケティング意思決定と実行につながります。

そこでリサーチでは、AとBに対する答えを明らかにするために、リサーチ課題を立て、設計し、結論と考察を出します。

理想としては「答えはAです」のような明確なものが出せるとよいですが、自分自身の経験上、AとBに対して明らかな甲乙が出せるのはレアなケースだと思います。というのも、リサーチ前の段階で A or B となっている場合、その前の段階で複数の選択肢が取捨選択された結果なので、AとBはそれなりに良いであろう打ち手の可能性が高いからです。

そこでリサーチで重要なのは、マーケティング意思決定に示唆を与えることを念頭に置いた上で、結論や考察を出すことだと思っています。はっきりとAとBの優劣がつかなくても、例えば、複数の効果指標において、これとこれはAが優位、一方でこれとこれはBのほうが優れている。これはAもBも変わらない、というふうに。あるいは、AとBをこう組み合わせると一層の効果があるという提言もありです。

マーケ側の期待に答えるためには、リサーチの背景となるマーケティングの目的が何に設定され、そのための現状の課題は何か。その課題を解決するとどういう良いことがあるのか、なぜ課題解決をする必要があるのか。

マーケティングリサーチにおけるこの視点はとても大切だと思っています。リサーチでの企画/設計、実施、分析評価、レポーティングと、どのフェーズでも常に頭から離れないようにしておきたいなと。

どんな高度に設計されたリサーチでも、リサーチの上位にあるマーケ解決につながらないのであれば、それは単に趣味としてリサーチをやっただけにすぎない。業務として行なうリサーチは、ビジネス上で意味があるリサーチでなければいけないのです。



以上のような考え方から、今の自分の仕事上でのミッションを3つのワードで表現するとすれば、「Question, Insight, Action」と考えています。

Questionとは、リサーチで設計するためのリサーチクエスチョンの質を上げることですが、もう1つ、そもそもこのリサーチをやる意味はあるのか、マーケティングに価値を与え、意思決定やアクションにつながるかという問いを立てることも指しています。

Insightでは、リサーチ課題として立てたQuestionに示唆を出すこと。そしてそのInsightがActionにつなげる。そうした思いから、Question, Insight, Actionとしています。


2014/11/01

1才くらいの娘を甘やかせすぎず、甘えさせる

長女が1才2ヶ月になりました。




ここ最近、娘との接し方で気をつけたいと考えているのは、「甘やかす」と「甘えさせる」を意識して分けたいということです。

この2つは、自分の中でどう捉えているかと言うと、

  • 甘やかす:娘が自分でできる or チャレンジしようとしていることを親が過剰にサポートしてしまう。例) 自分の手を使ってスプーンで離乳食を食べようとがんばっている時に、横から親が簡単に食べさせてしまう
  • 甘えさせる:娘が、親に自分の相手をして欲しそうな時は、ちゃんと受け入れてあげる。例) 絵本を読んでと持ってきた時は、ひざに乗せて本人が満足するまで何回でも読んであげる

「甘やかす」というのは、娘がそれを求めていないのに、親がよかれと思って手を貸してしまう。その時は、親の助けがあってできても、結局は本人のためにならないケースです。

最近の娘を見ていると、いろんなことに興味を持っている様子がよくわかります。そして実際に触ってみたり、動かしてみたりと、初めてのことにもあまり物怖じしていないように見えます。もちろん、怪我につながるなど危険のあることには親として気をつける必要がありますが、そうでない範囲においては、なるべくチャレンジさせ、彼女の世界の中で冒険してほしいと思っています。

それを変に甘やかすことで、娘にとっての機会を妨げないようにしたいなと。

その一方で、娘が親を必要としている時は、しっかりと受け入れてあげるバランスも大事かなと思っています。

親に何かをやってほしい、甘えたい場面で、それを自分の都合で邪険に扱うことなく相手をする。甘えたい時には甘えさせてやるのも、また親の役割として大切にしたいです。


2014/10/11

テレビ視聴分析サービスSMARTの所感と課題

スイッチ・メディア・ラボが、テレビ視聴分析サービス「SMART(スマート)」の正式サービスを開始しました(14年10月6日)。
SMARTプレスリリース文書(PDF)
視聴率を10分後に提供、ネット活用 スイッチ・メディア・ラボ:日本経済新聞(有料会員限定記事)



テレビ視聴率の調査およびデータ提供で、調査の特徴や提供サービス内容を見ると、すでに同じ視聴率サービスを展開しているビデオリサーチのできないこと(と言うよりやっていないこと)を突いているなという印象です。

いくつか挙げると、
  • リアルタイムでTV視聴率が提供:正確には時間帯別視聴データは15分後、番組試聴データは放送終了後の2−3時間ほど後にはなりますが、ビデオリサーチ(VR)と比べるとこの差は大きいです。個人的な所感ですが、このスピードへのニーズは広告主/広告会社側よりも、TV局をはじめとするTV番組制作側にあるように思います
  • CM視聴率:15秒単位のCM視聴状況から集計できるようです。VRとの違いは、厳密に言うとCM集計ができる/できないと言うより、最小秒単位の粒度です。VRは1分単位なのに対して、スイッチ・メディア・ラボは15秒です。テレビCMの1本あたりの秒数は15秒が最も多いので、それに合った15秒単位集計により、より細かくCM放映時の視聴率が追えます。VRデータを使ったTVCM広告枠の売買では、GRPという番組平均視聴率がベースになっていて番組とCM時の視聴率に乖離があるとすれば(ザッピングや中座で)、より正確な数値を見ることができるでしょう
  • 性別年代などのデモグラデータが細かい:これはサンプルサイズが2014年内で関東地区2000世帯の5000人を目指すことで、VRの同地区600世帯よりも大きいので、その分、デモグラの割付が細かくできます。性別年代以外にも、職業や年収等のデータで切れるようです

ニュースリリースを見た限りでの気になる点はいくつかあります。

1つ目は調査パネルの設計で、リリースによればこのパネルは世帯ベースでは国勢調査に基いて設計されているようです。「性別、年齢別、未既婚別、居住地別分布に近似する様に対象世帯を決定」と書かれています。これだけを読むと、あくまで世帯単位で母集団がつくられているので、個人単位でどこまで設計しているのかが気になります。

リリース内容を見ると、世帯ベースのTV視聴率とともに、個人ベースでもデータが見られることを強調しているように見えますが、であるならば調査パネル設計も個人ベースで管理されるべきです。

2つ目は録画(タイムシフト)視聴への対応は今後あるのか。データ収集方法は機械式テレビ視聴継続調査で、「家庭用テレビリモコンと独自開発のテレビ視聴データ収集機器」と書かれています。

予想するに専用のリモコンの情報をTV付近に設置したセットトップスボックスが受信し、リモコン情報から「誰が・何を(どのチャンネルを)・いつ」見たかを判別しているはずです。世帯内の全員(4才以上)が調査対象者なので、おそらくリモコンにはTVを見ている人を選ぶボタンがあるのでしょう。お父さんが見る時はボタン1、お母さんはボタン2、息子はボタン3があり、父母のみがTVを見ているときは1と2を押す、というイメージです。

この専用リモコンに録画再生用のボタンがあり、セットトップスで受信した再生開始情報などをハードディスクレコーダーに転送できるかなどの課題があります。ただそれ以上に、根本的な問題は、リモコン操作情報では「録画した番組の内容」までわからず、単に再生/停止・早送りなどの操作しか把握できない、という点です。つまり、調査対象世帯ごとの個別のハードディスクレコーダーと連携し、録画視聴の番組情報を見ないと、タイムシフトの視聴率には対応できません。

★  ★  ★

2000年にテレビ視聴率調査からニールセンが撤退し、その後はビデオリサーチ1社のみでした。NHKが独自に調査をしていたりなど、他社もやっていなくはないですが、現実はVRの視聴率データが通貨となっています。

この状況にスイッチ・メディア・ラボが挑んだ形になったわけで、TV局や製作サイド・広告主/広告会社にどの程度受け入れられるのか、気になるところです。


2014/10/05

Cookie問題を解決するFacebookのマルチデバイス広告計測

Facebookがおもしろい取り組みを進めています。Facebook、買収したAtlas広告プラットフォームを再ローンチ―マルチデバイス、オフラインのセールスもモニタ - TechCrunch




■Cookieの問題

オンラインでのユーザーを計測するためには、これまではCookieを使い手法が一般的でした。ユーザーに対してCookieをブラウザごとに配布することで、広告が配信された数、Aという広告に接触した人にBという広告を出す(リマーケティング)、などを計測できています。

ただし、Cookieには課題もあり、例えば、
  • Cookieが削除される
  • ユーザーのカウントがUU(ユニークユーザー)ではなく厳密にはユニークブラウザ
  • スマホなどのMobileではアプリごとに配布され、異なるアプリ間でCookie情報が共有されない
  • デバイス間のCookie情報が共有されない
という状況です。Cookieとは、スマホ以前のPC時代の設計思想で、これからのマルチデバイス環境には適さなくなっているように見えます。

■Facebookのアプローチ

こうした状況に対してフェイスブックのアプローチは、Cookieよりも優れているように見えます。フェイスブックがやろうとしているのは、Facebook IDを使ってユーザーをトラッキング/計測するというもの。

上記のTechCrunchの記事から引用すると、
Facebookは新しいアプローチを「人ベースのマーケティング」と呼んでいる。広告主は消費者の行動をそれぞれの個人として複数のプラットフォーム上で追跡できる。つまり、あるユーザーが、スマートフォンで広告を見てからノートパソコンからその商品を買ったなどという情報をAtlasは広告主に提供できるようだ。
広告主が自社広告をAtlas(広告ネットワーク)から出稿/配信すれば、マルチデバイスでの広告接触や、さらにはオフラインまでの購買行動までトラッキングができてしまうようです。詳細が書かれていなかったのですが、仕組みがどうなっているのかは興味深いところです。

Facebookというオンライン上でのプラットフォームがあり、プラットフォーム上でユーザーを識別するFacebook IDを使う。Cookie IDの問題は、削除・ブラウザ間/アプリ間で連携しない・デバイス間で連携しない、であり、Facebook IDはこれらを解決するポテンシャルがあります。

さらに、Facebookはオンライン上ではマルチデバイスで連携しているだけではなく、何かしらの方法でオフラインの購買行動もモニタできているようです。

オフラインでの購買行動の計測には、予想するにオフラインの行動はFacebookに登録している電話番号を、ネット上でのFacebook IDのように使っているのではと思います。Facebookには、ユーザー情報の宝庫です。自らが性別/年齢、居住エリアや興味関心を入力してくれます。

オンライン/オフラインでのユーザー行動が、Atlasを通して広告主にフィードバックされるメリットは大きいです。

■Cookie問題をFacebookは解決できるか

Facebookのマルチデバイス広告トラッキングでできるようになるのは、クロススクリーンでの広告計測です。

Cookieでの計測は、デバイスごと、もっと言えばブラウザやMobileアプリ内での閉じた計測でした。これがFacebook IDではユーザーベースになります。

例えば、ある広告キャンペーンをマルチデバイス向けに配信した時に、スマホだけで接触したリーチ、スマホ&PCの両方での接触リーチなどがわかり、それぞれの接触者が、その後にどういう購買行動を取ったかもわかります。

もう1つ、Atlasを使ってできるとおもしろいと思うのは、マルチデバイス広告接触による広告効果測定です。

Atlas上での広告配信がFacebook IDでできるとすると、効果測定をしたい広告接触グループAと比較対象用の全く関係ない広告接触グループBにランダムに分け、AとBに対して広告接触後に、広告やその商品/ブランドの認知・興味・商品イメージ等を聴取します。比較対象であるBに対して、Aのアップリフトを見ることで、広告接触による態度変容もリサーチできます。

Facebook IDを使うことで、プライバシー観点での制約が気になるところですが、Next Cookieのアプローチとして期待しています。


2014/10/04

iPadを親にプレゼントしてみると

ちょっと前のことですが、実家にいる親にiPadをプレゼントしました。Androidとも迷ったのですが、UIがシンプルなことと、端末の軽さから、iPad Airにしました。



iPad以前は、実家のネット環境が整っておらず、前々から実家に帰る度になんとかしたいと思っていました。そのネット環境とは、古いノートブック型パソコン(Windows 7)に光ケーブルから有線LANでつないでいました。

パソコンの起動時間が5分くらいかかり、毎回パソコンに有線ケーブルをつなぐという、ネットを使うだけに一手間も二手間もかかるような状況でした。

そんなわけで、実家にタブレットとWiMAXを導入しました。

母親のパソコンからのネット利用用途は、食品/飲料の注文・孫の写真/動画の閲覧だけと言ってもいいくらい。ニュースは新聞で、天気予報はテレビから、という感じでネットでの検索もほとんどしていなく、オフラインが中心という状況でした。

ちょっと脱線しますが、「孫の写真/動画の閲覧」というのは、私の娘(14年10月時点で1才)のことです。デジカメやスマホで撮った写真や動画を、Google Driveの家族共有フォルダに随時アップしています。フォルダ権限はお互いの家族だけです。

フォルダ内にアルバムのようにストックしておくというよりも、フローとして見てもらっています。このやり方を両方の親が気に入ってくれ、写真/映像の更新が滞ると、早くアップしてくれとリクエストが来るくらい。

娘の「これができるようになった映像」は特に好評で、寝返り・お座り・ハイハイ・立つ・歩けるようになった、などは、映像を見てすぐに電話がかかってきます。娘の親としても、おじいちゃん/おばあちゃんが孫にこうした形で関心を持ってくれるのはうれしく思っています。

話を戻すと、パソコン時代の母のネット利用はごく限られた範囲でした。

で、iPadを使うようになって、母親のネット利用はかなり変わったようです。

始めはPCでの利用をそのままiPadで代替していた程度だったのが、日常でわからないことをネット検索から調べる、天気予報、YouTubeで懐かしい音楽やクラシックを聴く、旅行の計画をネットを使う、などなど。孫の写真/映像の閲覧頻度も増えたようです。一方で、パソコンの利用はほぼなくなったとのこと。

パソコン+有線LAN vs タブレット+無線LANでは、特に上記のようなライトなネット利用においては、後者が便利なのは言わずもがなです。それにしても、変化は私の予想以上でした。

iPadを親にあげる前は「今のパソコンでも十分便利よ」みたいなことを言っていました。それが、実際にタブレットを使ってみると、単に、パソコンの利用をタブレットが代替しただけではなく、タブレット+無線LANという環境変化によって、ネット利用量そのものが増えたのです。

パソコン+有線LANの時にも、おそらく潜在的には今くらいのネット利用ニーズはあったはずです。しかし、UIが制約となり本人すら、今くらいのネット利用用途があることに気づかなかったのでしょう。

2014年現在、世界の人口は約70億人、うちネットを使える人たちは20億人と言われています。残りの50億人はこれから。文字通り、世界中の人びとがネット使い出し、つながった時、自分の母親に起こったようなこと、あるいはもっと劇的な変化が見られるのかもしれません。




2014/09/28

書評「火車」(宮部みゆき)

ここ最近、小説を続けて読んでいます。その中で宮部みゆきの「火車」がおもしろかったのでご紹介します。




あらすじを文庫本の裏表紙から引っ張ってくると、
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――

なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。

推理小説+社会小説という感じの内容でした。

始めは、手がかりと呼べるようなものがほとんどない状況から、少しずつベールが剥がれていきます。それとともに、あらすじの最後にある「カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生」も見えてきます。別の言い方をすると借金の魅力と怖さが、登場人物の人生とともに明らかになっていきました。

ストーリー自体にはここではあまり深く触れませんが、この小説が読み応えがあったのはストーリー設定以外にもおもしろさがあったからです。

1つは文章構成と表現。ストーリーの起承転結において、文量がほどよいバランスだと感じました。小説によっては、起と承が長く時にはダラダラと続く作品もあったりします。その後、ストーリーが急展開し(転)、結末が自分の中では盛り上がらないケースです。

文章表現も、情景や登場人物の動作・心情・それまでの生き方や人生など、凝り過ぎることなくうまい表現だと感じました。

もう1つ、おもしろかったのは小説を読み進めることで、色々な学びがあったことです。学びというのは単にノウハウのようなものではなく、ストーリーに沿って疑似体験ができることです。

「火車」で言うと、クレジットカードの利便性と表裏一体である、気軽にお金を借りることのリスクです。クレジットカードを使うことも「借金」と表現すれば、自分自身も日常で使っています。

一方で、ローンを組んだり、消費者金融には経験がなく、使ってみてしまう動機は何なのか、利子が利子を生み、借金地獄から逃れられない状況、その果てに何が起こるのか。ストーリー自体はフィクションですが、あながち現実から離れているとは思えませんでした。

疑似体験で言うと、各登場人物を通して、(少し大げさですが)自分とは全く異なる人生を体験できることも、おもしろいと感じる小説の理由です。特に、悩みや葛藤や苦しみから、人は何を感じ、どういう行動を取るのか。つい自分はどう考えるかと思いながら読み、そのほとんどが自分とは違う発見があります。

★  ★  ★

「火車」の時代設定が1990年前後です。2014年現在とは変わらないものと変わったものがあり、その比較も個人的にはおもしろかったです。

1990年というと平成2年で、今とは全く違うものに、インターネットと携帯電話があります。推理小説なので主人公は様々な方法で情報収集を行ないます。例えば、関連する事件については図書館で当時の新聞記事に当たる、同僚の刑事に電話をかける、など。同じことを現代でやると、必ずと言っていいほどネットやモバイル端末を使うでしょう。



2014/09/27

AccessMill(マクロミルのオンライン広告効果測定サービス)の広告接触者と非接触者の同質性

マーケティングリサーチを展開するマクロミルが、AccessMill(アクセスミル)を正式リリースしました(14年9月24日)。AccessMill[アクセスミル]|マクロミル

■AccessMillとは

AccessMillとは、ネット広告によるデジタルマーケティング施策の効果を調査するツールです。

特徴は2つで、
  • Cookie情報をもとに、マクロミルの調査パネル対象者から実際にある広告に接触したかどうかを判別し
  • 広告接触者に対してアンケートをかけたり、広告接触者や広告のランディングページ訪問者の特徴を知ることができることです。
広告接触者やページ訪問者にアンケートをかけることで、広告効果が測定できます。具体的には、広告された商品/サービスについて、①認知(知っている人を増やせたか)、②興味(興味喚起が起こせたか)、③購入意向(買いたいと思ってもらえたか)などです。




マクロミルの自社パネルなので、ログから非接触者もわかります。非接触者にも同じアンケートをすることで、上記広告効果測定指標について、広告接触者 vs 非接触者で比較分析をします。


AccessMill[アクセスミル]|マクロミル


■比較の前提となる「比較対象の同質性の担保」

広告接触者と非接触者で気になったのは、この2つのグループがどこまで同質性を担保できているかという点です。

ちょっと専門的な話になりますが、この比較において重要な前提があります。広告接触者グループと非接触者グループの同質性です。

ここで言う同質性とは、少なくとも広告効果に影響を及ぼす可能性がありそうな特徴において、2つのグループが同じ条件という意味です。例えば、性別や年齢の構成比、その広告商品に対するもともとの認知や過去の購入経験など。

これらにおいて同じ条件である2つのグループで比較しないと、その比較はあまり意味を持ちません。

極端なケースとしては、広告接触者グループに若年層が多く、非接触者グループに中高年層が多ければ、広告接触 vs 非接触を比べているのではなく、単に若年 vs 中高年の比較にすぎないからです。この場合、同質性を担保することで、例えば若年層の広告接触者と非接触者の比較をすることが望ましいです。


■AccessMillにおける広告接触者と非接触者の同質性

AccessMillの仕組みを見て思ったのが、非接触者というのは単純に結果としてその広告に接触しなかった 人たちになってしまうのでは、ということでした。

うがった見方をすると、広告接触者は普段からネットをよく使っている人、非接触者はあまりネットを使わない人になってしまう可能性もあるのではと。この場合、比較しているのはネットヘビーユーザー vs ライトユーザーです。ヘビーユーザーバイアスがある状況下での比較になってしまいます。

非接触者グループの作り方としてより厳密に同質性を担保するためには、「本来は広告接触のターゲティング対象であったが、あえて広告を接触させない」やり方が正しいです。

分析対象とする広告素材(Test ad)ではなく、全く別の広告素材(Control ad)を当てる。例としては、分析広告が「海外旅行」だった場合、全く別の「自動車」の広告を配信することで、海外旅行の非接触者グループをつくるのです。

理想的には、2つの比較グループの違いは、対象広告を接触するか否かの違いのみで、それ以外を同質にすることです。(これを実現する具体的な運用方法はやや複雑なので割愛します)

★  ★  ★

アクセスミルについてもう1つ気になったのは、Mobile広告でどこまで広告効果分析ができるのかです。

サービス紹介ページを見ると、イメージ図にはスマホも入ってはいます。ただ、アプローチがCookieを使うので、SafariやChromeなどのブラウザアプリからのWebページ上広告以外のアプリ内広告にどこまで対応できているのか。このへんが気になるところです。


2014/09/23

はじめての転職活動中の方へ、いくつかのアドバイス

ここ最近、転職の話や相談を受けることがいくつかありました。

その時に伝えたことを2つピックアップして書いておきます。転職活動をやり始めたくらいの方が対象なので、参考になれば幸いです。



■聞かれたことに正しく答える

文字にすると、「なんだそんなことか」と思いますが、意外にできていないものです。意図的にはぐらかす場合は除き、本人としては質問にちゃんと答えているつもりでも、(質問をした)相手からすると、聞きたいことが返ってこないケース。

転職活動や就職活動には面接があります。以前に、自社の転職者の採用のため、自分が面接官として面接をしたことがあります。これまでのキャリアから優秀な方という印象でしたが、そんな方でも、時々、こちらからの質問に対して的を得ない回答があったのです。

その時に印象として残ったのは、聞かれたことに答えるのではなく「自分が話したいこと」を伝えようとしていたこと。

聞かれたこと = 話したいこと、であればよいですが、これがズレてしまわないよう、聞かれたことに答えることが大切だと、その面接で学びました。

面接という限られた時間の中で、面接官としてはその人のことを少しでも理解し、一緒に働きたい人かどうかを判断する。面接を受ける側にとってもその会社のことを知り、自分が働きたい場所や人がいるのかを判断する場です。だからこそ、面接では聞かれたことに正しく答えることが大切です。

面接に限らず、転職活動では、リクルーターや人事の人、エージェンシーの人とも連絡を取り合います。メールが多いですが、メールでも質問には正しく答えることは重要です。

■自分の気持ちに正直になる

転職は少なからず自分の人生の分かれ道になり得るものです。少なくとも自分が転職したことを振り返ると、岐路になりました。

今では転職してよかったと心から思っています。ただ、それでも転職を決める当時は、(前の)会社に残る or (今の)会社に転職する or 別の会社に転職するを色々と考えました。

転職する or しないが、50 vs 50 だったのが、ふと「新しい会社で挑戦したい」という気持ちが生まれました。不思議なことに、その気持ちが少しずつしっかりしたものになるにつれて、51 vs 49 になったものが、最終的にはほぼ 100 vs 0 になっていました。

今思えば、拮抗して動かなかった天秤を傾かせたのは自分の正直な気持ちでした。それに自分が気づけたことが結果的によい決断になったと思っています。

★  ★  ★

最後に、転職に関連した過去のエントリーです。ご参考になれば。

転職活動で学んだ採用面接でよく聞かれる5つの質問
転職を決める背中を押してくれた本5選


2014/09/14

Googleアンケートモニターが普及するための2つのポイント

Googleのアンケートサービスである「Google Opinion Rewards」が日本でもローンチされました(14年9月11日)。
Google Opinion Rewards Now Available in Italy and Japan! | Google Consumer Surveys (Google+)

日本サービス名は「Google アンケート モニター」と呼ぶようです。



すでにローンチされているのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの英語圏の国。非英語圏ではドイツとオランダに続き、イタリアと同じタイミングでのリリースです。


■Google Opinion Rewards (Google アンケートモニター) とは

Google Opinion Rewardsとは、Androidのアプリで、アプリ上でアンケートが配信されます。

アプリをインストールしたユーザーは、随時配信されるアンケートに回答します。アンケート報酬として、Google Playで使えるクレジットを獲得。Google Playにある有料アプリや音楽や映画などの有料コンテンツを買うことができます。

プロモーションビデオはこちらからどうぞ。


Google Opinion Rewards - YouTube


アンケートの質問数は最大10問(14年9月現在)。スマホからサクッと答えられる程度の分量が想定されているようです。

アンケートは、Googleアカウントがあればすぐに作れます。こちらのぺージの「Create a Survey」ボタンを押せばアンケート作成画面にいきます。作成イメージは以下の映像で紹介されています。


Google Consumer Surveys: How to create a survey - YouTube


アンケート作成者にとって注意が必要なのは、Google Opinion Rewardsの回答者母集団はAndroidユーザー(厳密に言えばこのアプリをインストールしている人たち)、という理解です。

Androidユーザーとそうでないユーザーで、傾向に違い(バイアス)がありそうなことについてアンケートを作る場合には注意が必要です。例えば、先週発表されたiPhone 6へのニーズを知りたいケース。iPhoneをすでに保有している人の出現はGoogle Opinion Rewardsは少ないと思われるので、あくまで現Androidユーザーのニーズを確認するという前提になります。


■Google Opinion Rewardsが普及するための2つのハードル

日本語サービス名は「Google アンケート モニター」。その名の通り、マーケティングリサーチ用のモバイルパネルをGoogleが保有することになります。

パネルでのアンケート回答者は、Android保有者でGoogle Opinion Rewardsアプリをインストールしている人たちです。

14年現在では、スマホ普及率を5割、スマホ内のAndroidシェアを6割と超ざっくりに見れば、日本人の3割くらいがマックス規模に対して、このアプリがどこまでインストールされるかです。

ここからは、Google Opinion Rewardsが普及するためのポイントを考えてみます。

そもそもとして、Google Opinion Rewardsアプリのユーザー(アンケートモニター)にとっての魅力は、アンケートに回答するとGoogle Playクレジットがもらえることです。Play上でしか使えないとはいえ、お金に該当する対価がアンケートに答えることでもらえるのです。

ユーザーにとってGoogle Opnion Rewardsが実際に魅力となり、日本でもGoogle Opinion Rewardsが浸透するかどうかのカギは、2つのコンテンツがどれだけ充実するかです。

1つ目は、十分なアンケートがユーザーに配信されること。せっかくアプリがインストールされたとしても、アンケートが来なければアプリの中身はカラッポです。これでは使ってもらえません。

ユーザーにとって、常にいろんなアンケートが答えられる状態になること。これが1つ目のハードルです。

2つ目は、ユーザーにとってGoogle Playに魅力があることです。つまり、アンケートに答えて獲得できるGoogle Playクレジットが、ユーザーにとってちゃんとインセンティブになること。

Google Playに魅力があるとは、ユーザーが使いたくなるような有料アプリや、音楽・映画などのコンテンツが充実していること。これが2つ目のハードルです。

ユーザーにとって、Google Playに欲しいコンテンツがそろっていないと、せっかくアンケートに答えて獲得したポイントも、使わないまま、ただただ貯まっていくだけです。

(1)Google Opinion Rewards上のアンケート、(2)Google Play上の有料コンテンツ。これら2つのコンテンツがどれだけ充実するか。

アンケート作成者の立場で考えれば、Google Opinion Rewardsは候補の1つとしておもしろい存在なので、日本でどれだけ普及するかに期待です。


Google Opinion Rewardsアプリはこちらからインストールできます。
Google アンケート モニター - Google Play


2014/09/07

Apple to Apple なリサーチのために

何か分析するとは、最もシンプルに言えば比較をすることです。

AさんとBさんを比べる、去年のAさんと今年のAさんを比較する、この時に大事だと思うのは、比べたいこと以外は比較対象において極力同じ条件にすることです。例えば、やや極端な例ですが、100mの記録を比較するのであれば、同じ男子100m走という競技をそろえて、同じ競技内で比較します。これがもし、100mの競歩も入れたり、水泳100mも含めて、なんて比較はしないでしょう。

100m短距離走という条件を同じにし、その中で誰が早いかを比較するわけです。こういうのをApple to Appleと表現することがあります。



リサーチの世界において、何かを比較する場合にどうやって比較対象を設計するかが、ここ最近は奥が深いなとあらためて思っています。ある睡眠薬の効果を検証するケースで書いてみます。

その睡眠薬の効果は、寝付きがよくなることだとします。効果検証の実験として、テストする睡眠薬を被験者に投与し、よく眠れたかどうかを検証します。簡単のため、検証方法はアンケート形式で被験者に答えてもらいます。

1. 同一対象者へのPre / Post

最もシンプルな方法は、睡眠薬を飲んでもらう前に通常の睡眠状態を答えてもらい、睡眠薬を飲んだ後に同じ睡眠に対する項目を答えてもらうやり方です。(同一対象者へのPre / Post形式)

睡眠薬投与の前と後に同じことを聞いているので、前後においてどのように睡眠状態が変わったかを比較します。

ただし、このやり方だと、睡眠薬を飲む前のアンケートに答えてもらうことで、自分の睡眠をあらためて振り返ってみるなどの「睡眠意識」が高まってしまい、睡眠薬投与にそれが影響を与えてしまう懸念があります。専門用語でアンケートバイアスと言います。

2. 別対象者へのPre / Post 

アンケートバイアスを除去するために考えられることとして、睡眠薬投与前後のアンケート回答者を別にするやり方があります。

テスト対象者の条件をなるべく等しくし、対象者たちを2つのグループにランダムに分けます。グループAには睡眠アンケートだけを実施(Preグループ)、グループBには睡眠薬を投与し、その後にアンケートを実施します(Postグループ)。

PreとPostグループで人を分けたことで、上記1にあったようなアンケートバイアスをなくすことができます。

3. 別対象者へのControl / Test グループ分け

さらに厳密にApple to Appleにするやり方があります。対象者たちをランダムに2グループに分け、グループAには偽薬(Controlグループ)、グループBには睡眠薬を投与します(Testグループ)。

グループAもBも、与えられる薬が何のためかを伏せて行ないます。これをやる意図は、薬のプラセボ効果を除去できることです。プラセボ効果とは、それを薬だと信じ込むことによって何らかの改善がみられる現象です。

上記2の方法との違いで、上記2では睡眠薬投与グループに効果があっても、それが実際の効果なのかプラセボ効果なのかを分解することが難しいですが、この方法であれば実際の効果かどうかを比較することができます。

もっと厳密にやるとすれば、被験者に薬を渡す担当者にすら、それが偽薬なのかホンモノの睡眠薬なのかどうかを伏せておけば、より安心です。担当者の渡し方で被験者に偽薬 or 睡眠薬なのかがバレないようにするためです。


2014/08/10

ウェアラブル端末での運動計測は目的ではなく、あくまで手段



ウェアラブル端末として使っているのが、「Withings Pulse」です。4cm x 2cmくらいのかなり小さい端末です。



実際の利用イメージは以下のプロモーション動画がわかりやすいです。


The Withings Pulse - Video presentation (EN) - YouTube

計測できるのは、歩数・移動距離・移動高低差(階段など上った高さ)・消費カロリー・心拍数・血中酸素濃度・睡眠の質。心拍数と血中酸素濃度以外は、デバイスを身につけているだけで、勝手に計測しデバイス内にデータが蓄積されます。全ての計測データはBluetooth経由でスマホアプリと同期され、クラウド上に保存ができます。

使い始めは、ウェアラブル端末としてこれだけできるので、運動記録を見るのが楽しみでした。日々の自分自身のデータが数値として記録され、今日はこれくらい歩いた、今週の移動距離は先週よりも増えた、とか。

ただ、しばらく使っていて感じはじめたこととして、日々溜まるデータについて「So what?」なんですよね。もちろん、歩数や移動距離を見ると、今日はこれくらい歩いた/運動した、ということがわかります。でも、データからわかるのはそれ以上でもそれ以下でもないのです。

つまり、事実として運動データが蓄積されるだけで、データからの次のアクションが結びつきづらい。例えば歩数については、昨日よりも多くしたい、先週よりも高い数値にしたい気持ちはあるものの、ずっと右肩上がりとなることはなく、どこかで頭打ちになります。そうすると、マンネリ感が出てしまい、なんとく日々記録しているだけの状態が続きます。

健康系のウェアラブル端末でもっと魅力が出るためには、もう1歩踏み込んだ So what? があるとよいです。使い続けることで、自分の改善が見えるもの、マンネリのないようなフィードバックがあること。

適当な運動時間が確保でき、自分の身体が健康だと感じれば、そもそもデバイスでの記録は手段にすぎないので、目的と手段を混同しないように注意です。


2014/08/02

お客さま自身が変わったのではなく、アンケートのバイアス

日経に、ライフネット生命保険会長兼CEOである出口治明氏の記事がありました。

スマホ普及で契約数は激減?ネット生保の想定外:日本経済新聞

以下、記事の中から引用です。
6年間経営をやってきて骨身にしみたことは「世の中は何が起こるか分からない。変化に対応するのが経営の神髄」というごく当たり前の事実だった。

開業時に当社のウェブサイトに来てくださったお客さまにアンケートを取ったところ、6割を超えるお客さまが「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」と答えてくださった。僕は意を強くして、この割合が7割、8割と上がっていくに違いないと信じていた。

ところが、昨秋のアンケートでは、その比率が2割以上低下していたのである。このようなお客さまの変化(保守化)は、何故生じたのだろうか。

「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」と考える人が、開業当時はライフネット生命HP訪問者の6割で、「僕は意を強くして、この割合が7割、8割と上がっていくに違いないと信じていた」と、もっと多くなるのではという見方だったとのこと。

ところが、現実は逆のトレンドで、開業時に6割だったものが、昨年は4割まで低下したようです。

これ、アンケートそのものにカラクリがあるのではないかと思いました。



6割→4割に低下したのは、アンケート対象者層が当時と今で変わったからではないかなと。

ポイントは、アンケート対象者がライフネット生命サイト訪問者にあります。6年前の開業時と2013年では、訪問者そのものが変わっているはずだからです。具体的には、
  • 開業時:ライフネット生命の知名度も低く、訪問者はネット生保に関心高いアーリーアダプター層が中心。この層は「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」と考える人が多かった
  • 現在:知名度も上がりマジョリティ層も訪問するように。マジョリティには「セールスパーソンと相談して決めたい」と考える人がアーリーアダプターよりも多かった
のではないかと思います。

関心の高いコアな層を中心にアンケートをした開業当時では6割、それが分母にはコア層以外も含まれるようになった結果が4割。つまりアンケート回答者にバイアス(偏り)があった。これが6年間で「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」と考える人が6→4割に減った要因だと思います。

これは何を意味するかと言うと、ライフネット生命の知名度が上がり、生保に対して保守的な層も潜在顧客として取り込めるようになってきたこと、彼ら/彼女らには従来とは異なるアプローチで契約を取りに行くやり方が必要ではないかということ。これがアンケートからのインサイトです。

世の中全体を分母にとれば、「セールスパーソンと相談して決めたい」割合は当時も今もそれほど大きな変化はしていないのではという気もします。


2014/08/01

トゥルースリーパー エンジェルフィットピローを買いました

枕を買い替えました。




トゥルースリーパーの「エンジェルフィットピロー」という枕です。


低反発枕 エンジェルフィット ピロー|トゥルースリーパー【公式サイト】


新しく買おうと思ったのは、今までの枕がここ最近、やや高いように感じ、朝起きたときに首が少し気になることもあったので、自分には合っていないのではと感じたからです。

で、色々と枕を調べてみて、一番良さそうだと思ったのがトゥルースリーパー エンジェルフィットピローでした。なぜかと言うと、枕の高さを自分で微調整できるから。これに尽きます。

エンジェルフィットピローは、低反発の小さな三角形チップが枕の中に入っています。



買って始めにやることは、この三角チップを自分で枕の袋に入れることです。入れるチップの量は自分で決められます。チップの量を変えることで、枕の高さを調整できるのです。

一回枕をつくってみてベッドの上で寝心地を確かめる。まだ低い(チップが少ない)と感じたのでチップを追加し、寝心地を確認。入れ過ぎると高くなるのでチップを取り出す。・・という微調整を、あれこれやっていると30分くらいかかりました。

こんな感じで、自分の寝るベッドや布団を使って高さ調整ができるので、ここをちゃんとやれば自分に合った高さの枕をつくることができます。これがトゥルースリーパーエンジェルフィットピローを選んだ大きな理由です。

お店で、枕を使って横になり、寝心地を試すこともできますが、横になるのが自分のベッドではないので、本当に自分に合った高さかどうかを確認することはできません。ベットや布団の柔らかさによって、その上の枕の寝心地も変わるからです。

なので、自分で枕の高さを調整できる枕が必須条件でした。ネットで買うことが前提だったので。

ちなみに、トゥルースリーパー以外にも自分で高さを変えられる枕は他にもあります。入れるチップの量で変える以外には、枕の下に敷くシートの枚数を変える、枕の中に水を入れるタイプ、などがありました。もともと、自分が好きな素材が低反発なので、トゥルースリーパーはチップが低反発というところも選んだ決め手でした。

新しい枕にして1週間ほど経ちました。今のところ、朝起きた時の首まわりの違和感もなく、よく眠れているように感じます。高さを自分に合った枕にした(はず)なので、横になって枕に頭を沈めた時のフィット感がとてもいい感じです。




2014/07/26

0歳の赤ちゃんを怒るとき。叱るとき。

娘が10ヶ月になります。母と娘のやりとりを見ていると、少しずつですが娘が怒られるケースもちらほらでてきました。

よくあるパターンは、離乳食を食べるのを嫌がったり、夜になかなか寝つかないとき。毎回怒られるわけではないようですが、お母さんの機嫌とも関係して、時々怒られています。

見ていて気になるのは、感情的に怒っている場合です。

傍から見ていると娘は悪いことをしていないのに、親の都合で怒られるケースです。離乳食をなかなか食べなかったり、お皿をテーブルの上にひっくり返したり、怒りたくなる気持ちもわからないではないですが、赤ちゃん側からすると、自分がなぜ怒られるのかがわからないのではと思ってしまいます。

理想としては、赤ちゃんとは良い親子関係/コミュニケーションをとりたい。でも現実は、ついつい怒ってします。時には感情的になってしまい、後から自己嫌悪を感じることも。

では、どうすればよいか?

最近考えていることとしては、「怒る」と「叱る」の違いを意識することです。

この2つの違いを比較してみると、
  • 怒る:感情的。自分の都合。気持ち/ストレスが発散される
  • 叱る:理性的。相手のため。子どもにとって悪いことを正すため。やってはいけない行動に対して取る行動

赤ちゃんが自分の言うことを聞かない、思い通りにやってくれずについ感情的になってしまう。これは「怒る」ほうです。赤ちゃんにとって悪気はあるわけではない場合、自分がなぜ怒られているのかも理解できないかもしれません。

怒るのではなく、叱る。

子どもにとってやってはいけないこと、(赤ちゃんには)危険なことをやらないように教えるときなど、あくまで赤ちゃんのために叱る。



ついつい感情的に当たってしまいそうなとき、怒りそうなときに一呼吸を置く。「自分だけの都合で怒ろうとしていないか?本当に赤ちゃんのために叱ろうとしているか?」。

「怒る」よりも「叱る」。この視点で見ると、自分が娘に「叱る」必要があるケースはまだ少ないことに気づきます。


2014/07/13

Withings Pulseの睡眠計測がやや期待はずれでした




自分の体重管理に使っているのは「Withings Smart Body Analyzer」という体重計です。ちなみに、Withingsはワイジングスと読みます。

特徴はクラウドで体重データを管理できるのと、あとはデザインもかっこいいと思っています。

クラウド管理というのは、体重計からWi-Fiを通して計測値データが送信され、専用スマホアプリやウェブでのマイページで管理できます。レビューは以前に書いていますが、自分の体重がトレンドでわかることで健康管理に役立っています。
Withings Body Scale:かっこいいクラウド体重計の3つの価値|思考の整理日記


■Withingsのウェアラブルデバイスを買いました

Withingsで、ちょっと前に買ったのが「Withings Pulse」です。写真のようなウェアラブルデバイスで、4cm x 2cmくらいのかなり小さい端末です。



計測できるのは、歩数・移動距離・移動高低差(階段など上った高さ)・消費カロリー・心拍数・血中酸素濃度・睡眠の質。実際のイメージは以下のプロモーション動画がわかりやすいので、興味のある方はどうぞ。


The Withings Pulse - Video presentation (EN) - YouTube


この商品を買おうと思った理由の1つに、自分の睡眠が機械により自動測定される点にありました。


■睡眠計測の満足度がいまいちだった2つの理由

Withings Pulseから睡眠の質として測定できるのは、3段階の睡眠です。起きている状態・浅い睡眠・深い睡眠の3つ。

購入後1ヶ月くらい使った感想としては、睡眠計測に関しては(事前の期待が大きかった分)満足度は高くないです。

理由は2つあって、

1つは、計測の正確さです。デバイスがどうやって測定しているかというと、以下のWithingsヘルプによれば、三次元加速度測定によって計測されているようです(How is the Withings Pulse able to track my sleep? – Withings)。抜粋すると、

The Pulse features a high precision 3-axis accelerometer. At night, this sensor precisely assesses your movements, so that the Pulse can run a sleep cycle analysis.

睡眠時はデバイスを専用のリストバンドに取り付けて、腕にまいた状態で睡眠状態を測定します。つまり、腕がどの程度動くかで睡眠を計測しています。

ただ、使っている感想としては、腕の動きと自分の睡眠が必ずしも一致していないと感じる場合があります。

例えば、ベッドで横になって、意識としては起きている状態でも、その間に腕が動いていなければ、デバイスは「浅い睡眠」と判定するようです。他には、夜中にトイレに行き、その後にすぐに寝る場合、起きていたのは時間にして数分程度ですが、データは起きている時間が20分のように記録されていたケースもありました。

測定結果がどこまで本当の自分の睡眠状態を表しているかは疑問が残ります。

とはいえ、本当の睡眠状態がわからないので、Withings Pulseからの測定値を比較しようがないのも事実。正解がわからないので、Withingの計測結果を信じるしかないのですが。

2つ目は、計測値から得られることです。結局のところ、睡眠状態が自動計測できたとしても、そのデータ結果を活かせる余地が少ないのです。

例えば、体重であれば増加/減少傾向があって、それが自分の望ましい方向でなければ食事や運動を改善するという次のアクションに結び付けられます。歩数も少ない日であれば、意識的に歩こうというインセンティブが働きます。

一方、睡眠データは次のアクションが取りづらいんですよね。

計測結果を見て、どんなパターンが良い睡眠で、どれが質の悪い睡眠なのかの判断が難しいです。実際の睡眠データのパターンも一定ではなく毎回変わり、かつ、起床時のよく寝れたかどうかの自分の感覚と計測結果もバラバラです。よく寝たと思ったら深い睡眠時間が意外に少なかったり、あまり寝られなかった感覚があるにも関わらず深い睡眠が長かったり。

睡眠の質を上げられるための工夫を自分でしてみても、それがデータ結果に表れなく、体感としても正直どれだけ効果があったかがわからない。トライアル→検証→改善ができないところに、次のアクションの難しさがあるわけです。

★  ★  ★

睡眠計測について満足が得られなかった2つの理由を書きました。

ちなみに、Withings Pulseの箱には、Track. Improve. と書かれています。意味は、毎日の運動や睡眠を計測することで(Track)、 日常生活の水準を向上させよう(Improve)というもの。睡眠に関しては、TrackもImproveも両方で自分が期待していた満足度ではありませんでした。

重力加速度装置を使っての睡眠状態の測定は方法としては安価に実現されているので悪くはないのですが、睡眠状態を測定するアプローチとしては意識をベースに計測する方法がより良いのではと感じます。





2014/07/12

頭の中に仮想の引き出しをつくってみる

自分が何に興味を持っているかで、同じ景色でも見え方がずいぶんと違います。

例えば、毎日の通勤経路でも、「電車内でまわりの人はどう過ごしているか」「どんな広告が出ているか」「乗換案内がわかりやすく表示されているか」「公園や歩道でどんな花が咲いているか」など、あえて特定のテーマ(関心)を設定して見てみると、普段は見過ごしていたことがたくさん目に入ってくるものです。

「プロの知的生産術」という本で紹介されているのは「頭の中に20の引き出し」をつくることです。自分にとって関心のあるテーマを1つの引き出しに見立て、頭の中で情報を整理するための仮想の引き出しを作っておき、入手した情報は各テーマごとに引き出しに入れておくというもの。

例えば、自分で食材や調理方法を工夫することに関心がある場合は、「料理」という引き出しを意識し、レストランで食べた料理から自分で料理することのヒントになるような情報を引き出しにしまっておく、というイメージです。

頭の中に引き出しをつくっておく方法がおもしろいと思うのは、漠然と何かおもしろいことはないかと思いながら見える景色と、テーマを持って見える景色では、テーマを持っていたほうが気づきが多くなることです。情報に対するアンテナの感度が上がります。

おすすめなのは、一度、自分の頭にはどんな引き出しがあるかを整理してみることです。

自分でやってみると、自分のことなのに、始めは今何に興味を持っているのかがなかなか言葉にできないものです。ところが、5個くらい書き出せたあたりから、次第に増えていきました。10個になり、20個と意外に自分が色々なことに興味を持っていることが発見できます。

時間にして10-15分くらいなので、ノートや紙切れにテーマを書いていくだけでも、やってみるとおもしろいと思います。



以下は、2014年7月時点の自分の引き出し(関心のあるテーマ)です。1か月後や1年後に同じことをやってみて、どの程度変わるかも比べてみるとおもしろそうです。

  • テクノロジー、Google
  • マルチデバイス、スマホ/タブレット
  • YouTube、動画
  • ネット広告とブランディング
  • マーケティングリサーチ
  • 交渉術
  • リーダーシップ
  • 統計
  • インプットとアウトプット
  • アナログが大事
  • アイデアはどう生まれるか
  • 本質
  • 直感と直観
  • わかりやすい文章、ブログ
  • 英語
  • 死について
  • お金の使い方、資産運用
  • 読書(読みたい本にどう出会うか)
  • 子育て/育児、教育
  • 男女脳の違い
  • W杯(サッカー)
  • バスケ
  • 食事
  • 健康
  • 自己計測(パッシブメーター)
  • 歴史問題
  • 安倍政権
  • ファッション(ビジネスカジュアル)




2014/07/06

アナログなことを大切にする

自分の問題意識の1つに「アナログを大切にする」があります。



ここで言っているアナログというのは、デジタルに比べてという意味です。例えばインターネットやスマホなどのデジタルデバイスと比較してのことです。

アナログのことをあらためてよいと実感した体験が、ここ最近いくつかありました。

  • インタビューなど直接人から話を聞くことで、得られた情報のイメージや記憶が鮮明に残る。たとえ同じことをネットで知ったとしても、直接足を運んで体験したことのほうが強く残った印象
  • 最初は混沌としてた情報でも、付箋や模造紙を使って議論をし続けていると、不思議と情報が整理できた。さらに、整理しているブロセスを通じて、新しい発見や仮説が生まれた

もう1つ、やや異なる話なのですが、アナログつながりで言うと、生後10ヶ月になった娘へのおもちゃがあります。

方針として、なるべくアナログなもので遊んで欲しいと思っています。例えば、木でできた積木や人形など。0歳から遊べるアプリなんていうのもあり、それはそれでいいと思うのですが、まずはアナログで、と思っています。

なぜ、娘へのおもちゃがアナログがいいかと言うと、五感をなるべく使って遊んでほしいと考えているからです。五感の中でも特に触った感じを大切にしてほしいなと。

木製なら木の感触があり、プラスチックやタオルなどの布製品とも違う触り心地があります。目で見たり、ぶつける音だったり、口に入れようとした時の感覚、実際に触った感触を通じて、10ヶ月の赤ちゃんなりに何かを感じてほしいという思いです。

少し大げさに表現すれば、自分の身の回りから、この世界のことを五感によって体験してほしいと思っています。

例えば、同じ絵本であっても、紙でできた絵本とタブレット内に入っているアプリの絵本があったとします。たとえ内容が全く同じでも、五感から感じることがそれぞれ違うと考えています。もちろんデジタルならでは体験もあるのですが、より自然な体験はアナログだと思うので、まずはアナログで、と。

経験則として、アナログならではの体験のほうが、脳の中の記憶が強く残ります。冒頭で挙げた「直接人から話を聞くこと」「付箋/模造紙での情報整理」も、五感をより使うことで、インプットとして強く印象づけられたのでしょう。

ネットで検索するなど、デジタルは有効な手段です。時間をかけずに調べたり、デジタルであれば情報の加工や発信も便利なもの。

とはいえ、アナログはアナログで強みがあり、デジタルにはまだまだ敵わないこともあります。デジタルに比べて一見すると非効率なアナログですが、急がばまわれで、アナログなやり方も大切にしたいと思っています。


2014/06/28

データ分析のプロになるための4つの視点

「会社を変える分析の力」という本は、ふと思い出した時に読み返すことが多く、自分にとっては大切な本の一つです。



必ずと言ってよいほど目を通すのは、「データ分析をする時の4つの問い」です。
  1. その数字にどこまで責任を取れるか?
  2. その数字から何がわかったか?
  3. 意思決定にどのように使えるのか?
  4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

自分の仕事とデータ分析は切っても切り離せないのですが、この4つができているかは意識するようにしています。今自分がやっている分析案件について、1, 2, 3, 4は全て満たしているのかと。

1. その数字にどこまで責任を取れるか?

データ分析者の最低限の役割は、数字という集計結果を出すこと。まず問われるのは、出した数字に自分が責任を持てるかどうかです。

分析結果を出すと、それが大変なプロセスほど達成感も高まるもの。しかし、その数字が本当に正しいのか、計算ミスや分析ミスをしていないか。自分自身がその数字に違和感がなく納得のいくものかどうか。

なお、「数字が正しいか?」と「分析予測結果が正しいか?」は別の話です。データ分析結果というのはあくまでもっともらしい答えであり、その予測通りになるとは限らないです。責任を持たなければいけないのは、あくまで分析が正確にされているかどうかです。

2. その数字から何がわかったか?

データ分析をした結果、Bに比べてAの効果は有意に10%高かった、みたいなことがわかります。ここで注意しないといけないのは、この時点では計算結果に過ぎないということ。本当に必要なのは、この結果から何がわかったかという「解釈」や「知識」。

数字の解釈をするためには、分析の発端である分析目的、課題(分析視点)、仮説、時にはデータや分析の前提/制約まで立ち返って考える必要があります。

先ほどの「Bに比べてAの効果は有意に10%高かった」については、例えば、この条件ではAを推奨するが、違う条件下ではこういう理由でBが望ましい、という感じです。分析結果を知識にできることで、3つ目の「意思決定」につながります。

3. 意思決定にどのように使えるのか?

データ分析の価値は意思決定のためにどう使えるかです。もっと言えば、そもそものデータ分析に取り掛かるかどうかの始めの時点で、こういう意思決定のためにデータ分析をする、という明確な設定がないといけないのです。

例えば、マーケティングのAとBの2つの案について、どちらが適切なのかが決めかねている状況で、分析結果から A or B のどちらがよいかの示唆を与える。あるいは、AとBを使い分ける判断材料にしてもらう。

いきなり計算や分析プロセスに入るのではなく、自分はこれからどういう問題に対してなんのために分析を始めるのか、得られるであろう結果/解釈が意思決定に役立つかどうかをまず最初に考えることが重要です。

4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

データ分析の価値は意思決定にどれだけ役立ったかです。ビジネスで分析をする以上は、データ分析からわかったことが実際のビジネスに貢献できたかどうかが問われます。理想は、ビジネスへの貢献度を具体的な数字(売上や受注件数など)で答えられること。

データ分析でビジネスに役立つところまで持っていくには、分析をして終わりではなくその結果を役に立てたい、もっと貢献したいという強い気持ちが求められます。意思決定者の立場になり、当事者意識を持つ。意思決定にどう使い、それが実際のビジネスにどう活かされるのか。より具体的にイメージしてみる。

★  ★  ★

自分の経験から考えると、4つとも満たせた案件というのは、残念ながら多くはないのが現状です。

感覚的には、「1. 分析結果は正しいか」「2. 分析結果から何がわかったか」まではいけるものの、その先の「3. 意思決定にどう役だったか」、さらには「4. ビジネスにどう貢献したか」までちゃんと答えられるケースは少ないです。

だからこそ、データ分析の企画をする時、集計/分析の段階、結果から考察に仕上げる時など、常に4つの問いを側に置いておきたいと思っています。




2014/06/22

「答え」を出すのは自分!という姿勢

マーケティングリサーチには大きく分けると定量調査と定性調査があります。定量調査は、生活者の行動や意識を「数」で理解する、定性調査は、生活者の行動や態度の奥にある気持ちを理解することが目的です。

例えば、自社の商品がどれくらいマーケットで知られているかを把握したい場合、200人にアンケートをかけて何%の人が認知しているかを確認するのが定量調査。その商品を使っている人にインタビューをしたり、自宅に伺って利用シーンや普段の生活も含めて調査するのが定性調査となります。

■インタビュー対象者に「答え」を求めない

ちょっと前に、定性調査(インタビュー)に関わる機会がありました。



その時にあらためて思ったのが、インタビュー対象者に「答え」を求めないことの大切さ。自分たちが抱える課題に対して答えを出すのは、あくまで自分たちという意識です。

インタビュー対象者に求めるのは、生活者の立場としての素直な意見や声であり、そこから課題解決に結びつくヒントを発見し、あるいは情報を解釈をするのはマーケターやリサーチャーの役割です。

例えば、インタビューで、「どういう機能があればよいと思いますか?」と聞くのは、生活者に直接答えを求めすぎていると思います。

答えを求めるのではなく、現状において困っていることや、対象者本人ですら意識していないようなちょっとした不便を見つける。「◯◯はいいと思うんですけど…」と言われた時に、「けど…」を見逃さずに、奥の気持ちをどれだけ掘っていけるかです。

そこから、マーケターやリサーチャーは何に気付き、どんな解釈をするか。発見や得られた示唆から、自分たちのマーケティング課題に対して答えを出すのは、あくまで自分たちという姿勢です。

■「答え」を出すのはあくまで自分

「答え」をインタビュー対象者に求めないというのは、一般化して捉えてもよいのではと思います。

自分の中で決めきれないことを人に相談する時も同じと考えています。相談をしてヒントはもらうけど、最後に決めるのは自分であるというスタンスです。

あるいは、ビッグデータを使えば、(これまでは得られなかった)答えがわかるとは考えずに、データがビッグでも、そこから読み取って解釈し、どんなインサイトを出すかは自分たちであるという意識。データ自体がそこまでやってはくれないと思うわけで。

もちろん、求めている答えがずばり得られることもあります。ただ、始めからそれを期待するのか、「答えは自分で出す」という意識でいるかの違いは大きいと思います。自分でというところに強い意志を持っておきたいなと。


2014/06/14

ネット広告の効果指標の近未来(2014年現在)

「広告ビジネス次の10年」という本には、近未来予測(第七章)がいくつか書かれています。

■態度変容がネット広告効果の指標になる

その1つが、ネット広告の効果指標に「認知」「態度変容」が加わる、というもの。以下、本書からの引用です。
動画広告の普及にともない「認知」「態度変容」といった指標がネット広告の効果指標として浸透していくことだ。ウェブ上で直接購入を促すことだけがゴールではない商品を扱う広告主が、広告の認知、ブランドの認知、そして購入意向などの態度変容効果に着目して、動画広告を本格的に活用していく。
(中略)
ECサイトなどのビジネスゴールがネット上にある場合はよいが、実店舗での販売が主力の広告主にとって、ネット広告活用における効果指標をどう定義するのかは大きな課題であったが、今年からネット広告による「認知」「態度変容」の効果を測る流れが加速するだろう。

ネット広告に限らず、広告を出すことの目的はその商品/サービスが売れることです。ただ、広告出稿 → 売上アップの間のプロセスについても、広告の効果があったかどうかをネット広告でも見ないといけない、ということです。

具体的には、広告によって、その商品を知ってもらう(認知)、興味を持ってもらう、商品/サービスの特徴を理解してもらう、商品/サービスのことを好きになってもらう(好感度)、などです。


認知 - 興味 - 商品理解 - 好感 - 購入意向 という人の気持ちや意識の変化を、広告によって引き起こせたかを指標として見ていく。

ネット広告の世界では、これまで、(バナー広告とかを)いかにクリックしてもらえるか、クリックした人が次のページで資料請求や加入申込みをしてくれるか(業界用語でコンバージョンと言う)を、広告の効果があるかないかの判断基準としてきました。これが変わりつつあって、クリック重視から態度変容へ、という流れです。

■態度変容をどうやって測るのか

態度変容が広告効果測定指標になっていく、という本書での説明は2ページにわたって書かれています。個人的にやや物足りなかったのは、「認知」「態度変容」をどうやって測っていくのか、(仮に測れたとして)これらの効果指標をどう活用するかが、具体的には書いていなかったことでした。

前者の「認知」「態度変容」をどうやって測るかについて。

態度変容などはその人の気持ち/意識の内面の変化などで、これを知るためにはその人に直接聞き出す必要があります。広告のクリック数であれば、ウェブ上にクリックというログが残るのでログを集計すればいいのですが、態度変容などの意識面についてはそう単純ではないのです。

方法としては、広告を見た人にアンケートをかけて直接聞くやり方でしょう。考えるに、広告に関するアンケートとして、商品/サービスを知っているか(認知)から、購入意向までを教えてもらう。比較対象として、広告を見ない人にも同じ内容を聞いておき、見た人 vs 見せなかった人で比較分析をする。

あるいは、同じ人に対して、広告を見る前と見た後の2回アンケートで聞いておき、見た前後で比較するやり方もあります。

ちょっと専門的な話になりますが、前者の「見た人 vs 見せなかった人」について、見せなかった人には注意が必要です。というのは、正確に比較するためには、本来その広告を見るであろう人に対して、何かしらの方法であえて見せないことによって(あえて別の広告を見せるとか)、「見せなかった人」とします。

つまり、広告配信のターゲットは全く同じ条件にし、見た人と見せない人で広告接触以外は極力同質なグループをつくる。ランダムに見せる人/見せない人に振り分けることで、A/Bテストのように理論的にはつくることができます。

同じ人に2回アンケートをし、広告接触前後で比較するやり方も注意が必要です。1回目と2回目のアンケート間隔が短すぎると、1回目のアンケートが記憶に残っていて、それが2回目のアンケート回答に影響を及ぼしてしまう可能性があります。(専門的には調査バイアスと言います)

例えば、1回目のアンケートで、◯◯を知っているかを回答することで、アンケートからその商品を知ってしまう可能性があります。2回目アンケートで「知っている」と回答されても、広告を見て商品認知をしたのか、単に1回目のアンケートで知っただけなのかがわからなくなるのです。

■広告による態度変容をどう活用するか

広告による認知や態度変容が測れたとしても、その結果をどう活用するかも大事になってきます。

例えば、コスト換算して活用するやり方。認知者1人を獲得するのに必要なコストを出して、判断基準とする。認知だけではなく、興味や商品理解、買いたいと思わせる人を1人獲得するためのコストを比較する考え方です。

ネット広告でも静止画と動画広告で比較や、動画広告でも動画再生前に流す形式と、ウェブページの右上のバナー内で流す形式では、見る人にとってのインパクトも違うはずなので、費用対効果が異なるのか、という視点です。認知を効果的に獲得するのはこのやり方、好感度を上げる方法はこっち、みたいな判断ができるようになるかもしれません。

ネット広告でも、PC用広告とスマホ用広告では効果も違うかもしれませんし、ネット以外にも視野を広げ、テレビ広告とネット広告の比較なんてこともできるようになるかもしれません。

『ネット広告の効果指標に「認知」「態度変容」が加わる』の先がどうなっていくのか、興味がある世界です。




2014/06/08

かつて情熱的に愛しあった夫婦ほど、ある意味で相性はサイアクらしい

話を聞かない男、地図が読めない女。男女でこんなに違うという話は、誰しもが一度は聞いたり、実感したことがあると思います。

「夫婦脳―夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか」という本がおもしろかったのは、一般的な男女間の違いではなく、夫婦という切り口で、一歩踏み込んだ男女間の違いを、わかりやすく説明していることでした。

■男性脳と女性脳はこんなに違う

男性と比べた女性脳の特徴として、右脳と左脳の連携が良いとのこと。

女性のほうが、右脳と左脳をつなく脳梁(神経線の束)が20%太いためだとか。だから女性は右脳で感じたことがそのまま言葉として出てくる。例えば本書で紹介されていた、
美味しい焼き鳥をほおばりながら、女たちは言う。
「このじゅわっと出てくる肉汁がたまらない。皮もかりっとしてるよね」
「スパイスが絶妙なのよ」
「ゆずこしょう?」
「そうそう、それそれ!」
「こんな美味しいもの食べられて、私たち、しあわせよねぇ」
「ねぇ〜っ」
みたいな会話は、男性同士ではまずされない。

ちなみに、男性からすると女性同士の会話は、「よくそんなに次から次に話すことがあるなぁ」と思えても、実は奥が深いことが書かれていました。

女性同士で、自分が感じたことを言葉にし共感しあうことで、コミュニティ形成をしているそうです。情報伝達というよりも感性を共有することに目的があるのです。大昔、男が狩りに出かけ、女は残り子育てを担う、みたいな頃は、子育てを担当する個体は互いに群れていたほうが子の生存可能性が上がるので、女性脳には本能的にコミュニティ形成を行なっているそうです。

もう1つ、男女間の違いがよく表れていた例がこちら。妻がキッチンカウンターで指をぶつけてしまい、ちょうどその場に夫が登場した会話です。
妻「手をぶつけちゃった」
夫「このキッチンカウンター、10年前からここにあるよなぁ。どうして、今さら手をぶつけたりするわけ?」
妻「どうしてって……、手を振り回したから、かしら」
夫「なぜ、朝の六時から、手なんか振り回したんだ?」
妻「え、なぜって?なぜかなぁ?あー、痛い。っていうか、その質問に答えることに、何の意味があるの?」
夫「理由がわからなきゃ、対策が立てられない」
妻「対策!?私は、ただ、可哀想に、と言って欲しいだけなのに」
夫「可哀想に、と言われることに、何の意味があるんだ?」
共感してほしい女性、問題解決をしたい男性。

■ある意味で相性が最悪...!なのが夫婦

こんな感じで、男女間のものの見方/考え方、コミュニケーションは異なるものの、夫婦間ではその違いがさらに大きい、というのが本書の出発点です。

かつて恋に落ち、互いに激しく愛しあった夫婦は、生殖相性(遺伝子配合の相性)は良い一方で、人としての相性は最悪なんだそうです。これが本書のポイント。

生殖相性は、免疫抗体の型が遠くはなれ一致していないほど良い。理由は、異なる免疫の組み合わせを増やすほど多様性が増え、子孫の生存可能性が上がるからです。恋をするというのは、どこか本能的に相手が生殖相性が良いかどうかを見極めている、と。

一方、免疫抗体の型が異なると(生殖相性が良いと)、生体としての反応が違ってきます。例えば大きな音がすれば片方はしゃがみ、もう一方は逃げ出す。暑がりと寒がり、神経質と無神経、みたいな逆の反応をするそう。

お互いに恋愛感情が強い期間は、生殖相性が良いこともありパートナーとしてうまくいきますが、2人が結婚したその先はこれがアダになるのです。ことごとく自分とは反対の見方/考え方、行動をする相手に対して理解に苦しむことになります。

それが顕在化するのが結婚後しばらくしてからで、ふと「この人でよかったのかしら」みたいな疑問が浮かんでしまう。それもかつて、恋人同士で情熱的に愛し合った夫婦ほど。

この本での発見は、夫婦間の違いは、一般の男女間の違いよりも大きいこと。

それも、わりと根本的なところでそもそも違う。なんとなく、夫婦というとお互いのことを理解できているイメージを持っていましたが、脳科学の視点からすると、夫婦こそ違っているのです。

■夫婦間では、いつもいつも「自分が真」ではない

本書を読み進めながら、ついついどうすれば解決できるのか?などと考える時点で男性脳な反応を示したわけですが。

まずは、夫婦ほど生体としての相性は最悪である、という認識が第一歩かなと思います。自分の妻/夫だからこそわかっているはず、というその思い込みが実は結構キケンなのかもしれません。夫婦間では、いつもいつも「自分が真」ではない。

男性からすると、今話されていることの結論が知りたいので相手につい促してしまいますが、女性は極論すると結論とかどうでもよくて、自分が感じままに言葉にし、ただ共感しほしい。女性は自分が見ているもの/考えていることは、言わなくても夫がわかると思いがちですが、男性からすると「言ってくれないとわからない」という。女性同士では通じる目配せみたいな「察してよ」は、男性には悲しいかな、通じない(気づかない)のです。

本書のサブタイトルは「夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか」です。著者の軽妙な語り口で、なるほどと思わせてくれます。他人の事例なのに、思い当たることが結構あります。

相容れないからこそ、 お互いが理解すれば、組み合わせとして、これほどよいパートナーは他にはないはず。



新婚の雰囲気がそろそろ落ち着いてきたなと思った夫婦、それ以上の結婚生活を送っている夫婦、熟年のご夫婦、お互いに読み合わせてみるのもオススメです。

自分の親にも読んでもらって、感想聞いてみたいです。




2014/06/07

書評: 「10年先の自分」をつくる (工藤公康)

工藤公康。プロ野球の投手として224勝を上げました。それ以上に特筆すべきなのが、現役生活が29年。平均期間が10年弱と言われ、多くの選手が6-7年でユニフォームを脱ぐ厳しい世界にもかかわらずです。

そんな工藤氏の著書が『「10年先の自分」をつくる』

■10年先のための「いま」

本を読む前、タイトルから想像したのは、10年先の自分をイメージしそこから逆算して何をするかを明確にすべき、みたいなことが書かれているのではということでした。それをプロ野球の世界でどう実現したか、みたいな話だと思っていました。

ただ、読み始めてみると、良い意味でその期待は裏切られました。10年先の未来から逆算して、というよりも、今何をすべきかを積み重ねることで、結果として「10年先の自分」ができていると読み取れました。

今の自分に何が足りないのかを必死で考え、それを得るために何をすべきかを自分で考える。そして自ら行動。その繰り返し。



工藤投手のような球界を代表するエースでも、成功した年の翌年は怖かったと言います。前年に通用した自分のボールが、翌年は打たれるのではないか、そんな恐怖が常にあったそうです。ここでも、生き残るためには何が必要なのかを考え、対応するために新しい挑戦をすることの重要性が書かれていました。

長く結果を出し続けている人は、よくなるために「新しいことを知ろう、理解しよう」ということを怠りなくやっています。20勝した人間が、永遠に20勝できるはずがないーーそれがプロの世界です。

相手が研究してくるなかで、同じレベルで戦ったら、今度は打たれます。だから、新しい球種を覚えたり、コントロールに磨きをかけたり、それまでとは違う配給をしたりして、少しでも上のレベルにいけるよう「新しいこと」への探究心を持ち、変化するために実行できる。

■プロフェッショナルとして

この本を読んでよかったと思っているのが、あらためて自分とプロフェッショナルについて振り返ることができた点です。

現役時代だけではなく、引退後も含めて工藤氏のプロ意識を、文章を通してその一端を垣間見ることができます。自然と、それと比べて今の自分はどうかとセルフチェックをするように読んでいました。

自分の役割は何か、役割に対して貢献ができているか/果たせているか。目に見える成果を出せているか。自分がやっていることはプロと言えるか、少なくとも自分の中ではそういう自負が持てているか。普段はなかなか意識して考えることなく過ぎていくので、いい機会でした。

例えば、自分の強みは何かを考えた時に、あらためて思うのは環境が変わると、自分の立ち位置もそれに応じてずいぶんと変化することです。

私自身の場合は、前職と今の環境を比べた時に、前職ではわりと普遍的な知識/スキルだったものが、転職後では一転してレアな/経験だったことに気付きました。正確には、前職の経験や知識をそのまま使うのではなく、今の職場には何か他のことと組み合わせるのですが、そうすると、自分のこれまでの経験も役に立つものなのです。

おもしろいのは、その経験は当時は、強みとしてや将来役に立つとはあまり思えなかったものだったこと。実はそういうものほど後になって使えることを実感すると、あの時やっておいてよかったなと。

そう考えると、今やっていることも、将来思わぬところで役に立つのかもしれません。自ら体験した経験って、ほんと貴重だと思います。Connect the dots…




2014/05/31

1日30分の語りかけ育児:親と子で真正面から向き合う時間

『0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児』という本で紹介されているのは、タイトルにもある「1日30分間の子どもへの語りかけ」。

お母さんが静かな環境で赤ちゃんの興味に沿って遊んだり、話しかけたりすることです。子どもの才能を最大限引き出せ、コミュニケーション能力を育むことができるとのこと。



この本は、ページ数が400を超えるボリュームです。0才〜4才までの月齢別に、子どもがどんな発育を見せ、何に興味を示し、また、それぞれの時期にどういう言葉を使うかまで、とても詳しく書かれています。それに対して、親として月齢ごとに赤ちゃんに何を語りかけるとよいか、どんな遊びがよいのかが紹介されています。

もともとはイギリスの本です。紹介コメントから引用すると、
イギリスで子供達の心と知能の発達に驚くべき効果が立証され、子供の言語能力&知能を確実に伸ばす方法としてイギリスの政府が推奨を決定しました。お母さんが自分にしっかり向き合ってくれる、という安心感を赤ちゃんに与えることで、赤ちゃんに意欲と自己肯定感を育てることができるため、親子の関係が良好になり、思春期の問題を未然に防ぐことができる、という面も指摘されています。

「1日30分の語りかけ育児」のポイントは、親と赤ちゃんとで真正面から向き合う時間をつくれるか、です。

一見すると親子の時間でも、親はスマホやテレビを見ながらだったりすることがあります。または音楽が流れていたりとか、子どもにとって親以外からの映像や音の刺激がたくさんあります。

「語りかけ育児」というのは、そういった親子以外の雑音をなるべく減らし、親子でのピュアなコミュニケーションをやってみましょう、親子水入らずの時間を1日に30分だけでもやりましょう、というメッセージです。

自分の娘(現在9ヶ月)を見ていてつくづく思うのは、親のことをよく見ているな、ということ。親が他事を考えている/やっていると、親が遊んでくれているように見えても、自分に注意が向いていないことはちゃんとわかっているようです。そういう時は決まって機嫌が悪くなります。

本当に子と親だけの時間をつくることが大切で、そのコミュニケーションを積み重ねることで子どもが成長する。親は、子どもが何に興味を示すかを観察し、しぐさ・表情・言葉でどんな感情を親に伝えようとしているのかを理解する。子どものほうも、親のそれを知ることでコミュニケーションが成立する。

親子のコミュニケーションには必ずしも必要ない外部刺激をシャットアウトすることで、お互いの注意が相手にちゃんと向きあう時間。そんな時間を1日に少しでも持てるようにしたいなと。




2014/05/25

「ITビジネスの原理」とネット広告

「ITビジネスの原理」は、タイトルどおり、ITやネットの世界に関することの根本部分がまとまっている本です。

難しいことを複雑に説明することはできても、難しいことをわかりやすい簡単に表現する(そして本質を外さない)のはなかなかできることではありません。それがこの本では、著者の尾原さんが根本のところを平易な書き方で説明されているので、「ITビジネスの原理」がよく理解できます。

■ハイコンテクストがキーワード

本書のキーワードの1つが「ハイコンテクスト」です。おそらく尾原さんが最も言いたかったことです。前職のGoogleを辞め、(Amazonではなく)楽天に転職された理由でもあります。

ハイコンテクストとは、High contextなので意味としては「文脈や背景を高いレベルで共有できていること」です。

例えば、家族や仲の良い友人、共通の趣味を持っている同士では、ハイコンテクストなコミュニケーションが成り立ちます。「これヤバくない?」「そうそう、マジやばい」みたいな会話でも、お互いは相手の言わんとすることをほぼ理解しています。

なぜなら、会話の背景やこれまでの文脈の共通理解があるからです。「これ」が何を指しているかわかっているし、「ヤバい」の使い方なども齟齬は見られない。

もし、文脈を理解していない同士であれば、もっと背景だったり感情や考えを丁寧に説明する必要があります。「この最近発売されたアイスの新しい味を食べてみたんだけど、他の味に比べて自分に合っていて、自分が予想した以上においしかったよ」「そうそう、私もちょうどこないだ同じ味のアイスを食べてみて、本当においしいと思ったよ」、みたいな感じです。

ローコンテクストな関係だと、これくらい前提や背景を伝えないとコミュニケーションが成立しないのです。

■ネット広告とハイコンテクスト

日本のインターネット広告を考えた時に、個人的に思っているのは、今後さらにネット広告市場が大きくなるかどうかのポイントの1つに、ブランディング広告が浸透するかだと思っています。

ブランディング広告というのは、その広告によってユーザーや消費者が持つ商品/サービスへのイメージアップ、興味喚起や購入意向、実際の購入に結びつけるような広告です。

これまでのネットの広告は、いかに広告をクリックしてもらうかが大事と考え、課金指標や目標達成指標もクリック数がベースになっていました。だから、例えばバナー広告はいかに目立たせるか、そしてクリックしてもらうかという方向性でつくられていました。

一方のブランディング広告は、その広告をクリックさせることよりも、広告を見てもらった人にいかに(ポジティブな)印象を残せるかにフォーカスしています。表現方法も、クリック重視のつくりとは一線を画すものです。



個人的に思っているのは、ブランディング広告というのは、ハイコンテクストな世界を目指すものなのではないかなということです。その商品/サービス、あるいはブランドが目指す世界に、消費者にも共感してもらうためには、ある程度の文脈や背景を共有していないと、難しいように思うからです。

やや極端に言えば、「この最近発売されたアイスの新しい味を食べてみたんだけど、他の味に比べて自分に合っていて、あなたが予想した以上においしいですよ」とわかりやすく訴求して、その場でクリックをしてもらうのがクリック重視の広告。

一方、(共通の文脈があるので)「これヤバくない?」と言うだけに留めるようなブランディング広告。あるいは、「これヤバくない?」と言うだけでわかってもらえるようなハイコンテクストな関係性を築くことを目指すのがブランディング広告。

先ほど、日本のネット広告においてブランディング広告が浸透するか、と書きました。別の表現をすれば、ハイコンテクストなネット広告がカギを握っているのではないかなと。

なお、ローコンテクストとハイコンテクストのどちらが優れているかの優劣はなく、どちらも存在するし(共存し)、これからもなくならないだろうと思います。だからこそ、ネット広告においては(ネット広告に限らずですが)、コンテクストがハイなのかローなのかを意識して、広告によって何を目指すのかをはっきりさせる設計が大事なのかなと思っています。




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